波佐見焼産地のクラフトツーリズムを紹介する「笑うツーリズム」が発刊

 ものづくりと観光を組み合わせた地域経済活性化のコンセプト「クラフト・ツーリズム」。昨年から波佐見焼産地が取り組むその考え方や実践について説く「笑うツーリズム HASAMI CRAFT TOURISM」が、このほど発刊された。編著者は、波佐見焼振興会の児玉盛介会長、長崎県立大学地域創造学部の古河幹夫教授、同・竹田英司准教授、長崎総合科学大学総合情報学部の専任講師・山路学氏。発行は石風社、A5判、324ページ。1800円(税別)。
 2019年、経済産業省によるクールジャパン事業の一つとして、波佐見焼産地が提唱した「クラフト・ツーリズム産業」が採択された。これを受け昨年2月14日、波佐見焼産地ではこれを全国に向けて連携を呼びかける「第1回クラフトツーリズム産業協議会全国大会」を開催。同大会では、波佐見焼振興会の児玉盛介会長を含む関係者5人によるパネルディスカッション「クラフトツーリズム産業の可能性」が行われたが、「笑うツーリズム」はそのディスカッションの収録から始まる。同大会の様子は陶業時報(2020年3月1日号)でも取材・報道されているが、ものづくり産業や地域創生について語られたその内容は本の冒頭を飾るほどに濃く、こうして書籍化された意義は大きい。
 そのほかの項では、パネルディスカッションに登壇した井手修身氏(イデアパートナーズ㈱代表)、村山慶輔氏(㈱やまとごころ代表)をはじめ、西海陶器㈱の児玉賢太郎社長、㈱有田まちづくり公社の高田亨二会長を含む識者らがそれぞれ独自の視点から寄稿。井手修身氏による「みんながやりたくて、できなかった『住民自らが創り出すまちづくり』」の項では、波佐見焼産地が「有田焼」の名前と決別してから、ツーリズムを確立するまでの話が14ページの漫画で挿入されているのもポイントだ。