日本人とやきものの関わりを民俗学的見地から解説する「47都道府県・やきもの百科」(=写真)が発刊された。著者は民俗学者の神埼宣武氏。発行は丸善出版㈱、四六判、262ページ。4400円(税込)。
日本国内の有力なやきもの産地は中部・近畿地方と肥前地域に集中しているが、規模を問わなければ全国的にやきものが焼かれている。同書では、全国47都道府県のやきものについて、それぞれの地域の歴史的な背景と、主なやきものを紹介している。「主なやきもの」といえども、ほとんど知られていない小さな窯元やかつて存在した窯元に至るまで網羅しており、まさに「百科」という書名に相応しい情報量となっている。
本は二部構成となっており、都道府県別の紹介の「百科」部は第二部。第一部では「総論・暮らしの中のやきもの史」と題して、日本のやきものが日本人の暮らしの変化に合わせてどのように変化し発展してきたかを解説。素焼土器、陶器、磁器の系譜も紹介する。巻末資料として、やきもの用語集とやきものを見て学べる施設一覧を収載している。同書を片手に全都道府県を回る「やきもの旅行」を企画するのも一興かもしれない。