九州発！田中ゆかりのテーブル通信［56］6月：「衣替え」で快適に

　早いもので一年の半分が過ぎようとしています。そう書きながらも、時の速さに「ぞっ！」としています。

　毎年この月は、大雨や水害などと何かと心配なことが多く、「心穏やかに」とはいかないのですが、今年はありがたいことに好天が多く、庭のアナベル（アジサイ）のつぼみを数えながら大きく開花していく様を毎日楽しむことができました。そんな喜びもつかの間、最近は連日30度超えで「まだ、6月だよね！？」とぼやくことに。当然アジサイもぐったりしてきました。そんなアジサイがついつい気になり、朝な夕なに水をやったところ、今は何とか姿を保ってくれています。

　この時期は学生の制服が夏服になるタイミング。我が家でも、衣類や寝具などを「衣替え」します。庭では夏草が生い茂る前の除草や庭の周りの溝の掃除、台所では食中毒予防のため冷蔵庫の整理などと家事も忙しくなります。お風呂も普段よりよく磨いておくとカビなどを防ぐことができるので、頑張らないとね～。ということで、今回はお家で快適に過ごすための工夫についてお話ししたいと思います。

　読者の皆様の食器棚にはたくさんの食器が収納されていることでしょう。お時間のある時に、というよりも、ぜひ時間を作って、その食器棚の器を配置換えしていただきたいのです。食器棚の奥の方に並んでいる器、使っていますか～？そしてその中から涼しそうな器、例えば薄手の白磁や青磁や染付、銀やプラチナ色のもの、透かしのもの、ほかにはガラスや、この夏に使いたいものなどを選んで、「サッ」と取り出しやすい手前の方に配置換えをしてください。そのときに棚板のお掃除をすると一石二鳥です。私はこれを「器の衣替え」と呼んでいます。大したことではないように感じますが、毎日台所に立つ身としてはかなりの気分転換ができて、やる気が出てきます。

　今年は特に蒸し暑く気温も高いのでエアコンがますます頼りですが、厚手のカーテンからすだれに変えてみると涼しく感じ、不思議なもので気温が1度下がったような気分になり、視覚的効果は抜群です。そこまでしたくない方は、お部屋のものを少し減らしてみてはいかがでしょう。すっきり、さっぱりしますよ。何より掃除が簡単になります。掃除が終わった後は、仕上げにお香を焚きます。香炉を使うのも良いですが、私は気軽に豆皿を使っています。旅先で記念に求めたものや時代物、お気に入りと様々な豆皿があるので、選ぶのもちょっとした楽しみです。

　お部屋がすっきりすると日常に花を飾りたくなります。陶器や磁器やガラスなどのミニ花瓶に庭の花を生けて気軽に楽しむことにしています。だから花代は0円です。オホホッ！トイレや鏡の前など数か所に置き、癒しの空間にしています。

　さて、心に余裕ができたところで「パンでも焼いてみようかな～」と。庭のローズマリーを利用してフォカッチャを焼いてみました。トッピングはミニトマト、ブラックオリーブ、ベーコンです。2回の生地の発酵は、今は気温が高いので短い時間で済みます。型はオーブンウェアとして販売されている波佐見焼、光春窯のもので、縦18.5センチ、横25.5センチの大きすぎず小さすぎず、オーブントースターにも入る大きさです。重くなく、ごつくもなく、器ごとテーブルに提供できて、オーブン料理以外のものでも違和感なく使えるのが魅力です。もうこれ以上器を増やしたくない私でも、買おうか買うまいかと考えた末に購入した次第です。

　白いマットな釉薬が涼しげなカップとドリッパーは、波佐見焼、長十郎窯のものです。そのままキッチンに置きっぱなしでも絵になるインテリア感覚の器。これにDEAN＆DELUCAのホーローのポットを合わせました。私はホットコーヒー派ですが、夫は暑がりなのでこの時期からアイスコーヒーに変わります。こちらはお洒落してシャンパングラスに入れてみました。

　麻のランチョンマットで涼やかに。この一枚で簾の効果あり。花は庭のスモークツリーです。日本では煙の木といいます。そのまんまの直訳ですね。煙のようなもやもやした花が何とも面白く、薄緑や薄ピンク、薄紫の微妙な色合いがこの季節にぴったりと思い、ガラスの小瓶に挿してみました。

　皆様の毎日の暮らしが快適で楽しいものになりますように。器のパワーをお送りします。パワーッ！