超絶技巧、未来へはばたく 岐阜県現代陶芸美術館

稲崎栄利子「Euphoria」2023年 陶土、磁土、金彩、雲母銀

 岐阜県現代陶芸美術館(多治見市)では4月9日まで、開館20周年記念「超絶技巧、未来へ!明治工芸とそのDNA」を開催している。

 超絶技巧シリーズの第3弾で、陶芸や金工、漆工のほか、ペーパークラフトや切り絵などの作家17人による作品世界とその原点となる明治工芸を展示している。

 稲崎栄利子氏の「Euphoria」は、曲げたり、ねじったり、畳んだりできる、磁器の概念を覆す驚異的な作品。極小の磁器のリングを連結したもので、台座に被せれば美しいドレープを描いて垂れ下がる。布のように軽くしなやかで、さしずめ磁器のレースと言ったところだ。明治工芸では、成瀬誠志の「上絵金彩人物図花瓶」(陶土上絵金彩)などが目を引く。六面の胴部に薩摩焼風の細密な絵付けを施した、これはオーソドックスな超絶技巧。

 企画趣旨について、同館は「本物そっくりに再現するオリジナルの複製にとどまらず、さらにその先の表現へと結びつけることが大切だろう。そして、だれも見たことのない圧倒的な表現を可能にすることで、超絶技巧の未来が見えてくると信じたい」としている。

 会期中、同館学芸員によるギャラリートークが開かれる。事前申込不要。開催日時はウエブで。

岐阜県現代陶芸美術館