技と輝きが宿る九州陶磁展 横山美術館

「染付上絵金彩菊図花瓶」(有田焼)香蘭社 明治8年~明治時代中期

 横山美術館(名古屋市東区)で4月17日まで、企画展「技と輝きが宿る 九州陶磁器展」が開かれている。伝統的な意匠を用いつつ、新しい感覚で技を伝える有田焼や薩摩焼など九州陶磁器142点を紹介している。

 有田焼や薩摩焼がパリ万国博覧会(1867年)で注目を集めると、明治維新以降、日本各地の陶磁器が大量に輸出されるようになり、なおかつ、欧米人のし好に合わせて装飾過美になって行った。ただ、瀬戸焼や美濃焼が西洋風のデザインで大量生産を行ったのとは異なり、有田焼や薩摩焼は日本の伝統的なモチーフを用いながら、近代的なアレンジを加え、技術を伝承した。

 同展では「染付上絵金彩獅子牡丹図皿」「上絵孔雀図皿」「染付上絵陽刻龍図花瓶」(いずれも明治)など透明感ある白磁を呉須や赤絵で彩った有田焼や、釉薬に細かな貫入を入れ金泥に輝かせた「上絵金彩桜図花瓶」「上絵金彩武者図花瓶」(同)などの薩摩焼を展示している。写真は「染付上絵金彩菊図花瓶」(有田焼)香蘭社製。

 原久仁子学芸員は「絢爛豪華な装飾と品質で欧米を魅了した近代の九州陶磁器の世界観を堪能いただければ」と話している。会期中、3月19日、4月2日と16日のいずれも午後1時半から、同館学芸員による作品解説が開かれる。無料、要観覧券。