九州発!田中ゆかりのテーブル通信[28]1月:美肌鍋の季節

 あけましておめでとうございます。新しい年を迎え、皆さまいかがお過ごしでしょうか?きっと元気で希望に燃えて毎日を送っておられることと存じます。一年毎日同じ様に暮らしていても始まりと終わりがあり、物事に締めくくりがあるというのは気持ちの上でも大変助けられることだと気づかされます。

 さて、今年はどんな年になるでしょうか?というより、「きっといい年にする」という強い気持ちが大事ではないでしょうか?意志の弱い私は何でも人のせいにしてしまいがちですが、今年は戦います。老化と!!!

 さむ~い昨年末に知人から温泉豆腐を賜り、一人でじっくりいただいてみましたところ、なんとなんと、大変美味で心を奪われてしまいました。今まで何度も食していたはずなのに、夕方になると舌の上でとろけるあの味を思い出し、なぜか、また食べたくなるのです。すっかりはまってしまい2週間ほど食べ続けたのでした。するとなんだか肌の調子が良くなりしっとり、もっちり、柔らかい。「あれ、コラーゲンより良いんじゃない?お化粧のノリもいいわ!」と思った次第です。

 その豆腐とは、日本三大美肌の湯、佐賀県嬉野温泉の湯で作られた豆腐をその温泉水でゆっくり温め白濁するまでじっくり待ってから、いただくというもの。豆腐はふんわり煮崩れしたくらいのほうが舌の上で「とろりんちょ」と溶けてなくなり後を引くのです。ゴマしょうゆダレ、おこのみでネギやショウガ、かつお節など添えていただきますが、気が向いたら豚しゃぶなど追加したりして。極めつけは湯葉ができそうな白濁した温泉水を残ったタレと薬味と共に平らげてしまうのです。おほほっ!

 まず土鍋を用意します。遠赤効果でよりふわっと仕上がるような気がします。仕事柄、湯豆腐鍋は持っているのですが昨年2月の連載記事「おでんで温まろう」のところでご紹介しましたので、今回は楕円の小鍋、サイズは縦20センチ、横22センチ、蓋も持ちやすくあめ釉にストライプの柄がおしゃれです。和洋折衷な雰囲気が気に入っていまして、時にはアヒージョやクラムチャウダーなどもこれで作ります。

 取鉢は、特に寒い季節は冷めにくいように深型を選びます。手作りの刷毛目の碗を選び、使いやすい小ぶりの青白磁の蓮華と台に豆皿を。薬味は青磁のひさご型小皿、時代物です。お供は冷酒、ぐい飲みに見立てているのはベネチアンガラス、のぞき込むとお花畑です。注器は銀製、それぞれ旅先で求めた思い出の品です。春の陶器市で見つけた肉の皿は直径22センチ、リム幅が1.5センチのフラットな形でここ数年流行りのグレーですが、よくみると微量な鉄粉が器の味わいとなっており、飽きのこない器の定番となりそうです。

 寒いこの季節、心も体もあったまること間違いなし。お正月のごちそうで疲れた胃を休めるには最適です。おまけに美肌になるのですから、ぜひとも2週間ほどお試しください。それでは成功をお祈りしております。おほほっ!

 今年もよろしくお願い申し上げます。

メニュー嬉野温泉湯豆腐・ゴマ醤油ダレ薬味(ネギ・ショウガ)・冷酒・霧島黒豚
飴釉楕円土鍋(作家物と思われる) うつわや酒舎(長崎)
刷毛目碗  (作家物と思われる。〇に永の印あり)不詳
Terra PLATE(M) ヤマト陶磁器(有田焼)
青磁瓢型小皿 時代物
刷毛目豆皿 不詳(小鹿田焼)
青白磁蓮華 文三窯(伊万里焼)
ベネチアンガラス(旅行先で購入)(イタリア・ムラノ)
銀製注器(旅行先で購入)不詳(東京)