九州発!田中ゆかりのテーブル通信[27]12月:一年の計は元旦にあり

 12月も半ばになり、何となく慌ただしくなってきましたね。コロナによる「ステイホーム」で時間ができたはずなのに、なぜこんなに雑用で忙しいのでしょうか?持ち時間は誰でも1日24時間、やはり自己管理ということでしょうね。振り返ると、今年の元旦は生まれて初めて一人で過ごしました。一人だから「何にもしなくていい~」と大喜び、ぐうたらを決め込んでいたのですが、毎日レトルトカレーというわけにもいかず、一人でもご馳走は食べたいし、でも張り合いがないし、寂しいしと、すっかり調子が狂ってしまいました。

 「一年の計は元旦にあり」ということわざは皆さんご存知と思いますが、その由来は中国の明時代に学者が著した書物で、「最初にしっかりとした計画を立ててから挑むことが大切」という意味です。

 この言葉には思い出があります。まだ幼いころ、元旦の朝晴れ着に身を包んだ私はうれしくてお座敷で踊っていました。調子に乗った私は白足袋をはいた足で父が準備した屠蘇器(とそき)をあやまって蹴飛ばしてしまったのです。怒るとコワ~い父です。思わず「叱られる」と目を伏せました。しかし父はその時「一年の計は元旦にあり」と言い放ったのです。幼いなりに「正月からふざけて浮かれたように過ごしていてはダメなんだ」と悟ったのでした。

 しかし、大人になってその意味をさらに深く知ることになります。この言葉には続きがあり、「一年の計は元旦にあり、一生の計は勤にあり、一家の計は身にあり」となります。全体では初頭に設計することで日々の充実度が決まり、健康維持によって一家の行く末が決まるという意味です。「一日の計」「一年の計」「一生の計」「一家の計」を四計と言い、良き人生の設計に欠かせない大切な計画とされているのです。

 いやいや、話がなが~くなってしまいましたが、ぐうたらなんてとんでもない!皆様は来年こそは良き年にと、元旦をしっかりと充実させて下さいませ。素敵な器で!!

 おせちは作る派とお取り寄せ派に分かれるところですが、重箱の詰め方にも一応決まりがありますので、覚えておきましょう。四段重の場合、一の重は祝い肴(さかな)や口取を、二の重は焼き物や揚げ物を、三の重は酢の物や生ものを、四の重は煮物中心に。写真は縁起文様の四君子丸紋蒔絵の三段重です(四君子とは蘭・竹・菊・梅を草木の中の君子として称えた言葉のこと)。煮物は鉢に盛りましょう。
 お屠蘇は茶事で使う手付き銚子、つまみが梅、側面に竹の文様です。持ち手に正月のお飾りを結びます。祝い肴は着物型松竹梅柄の豆皿に盛りつけると料亭みたいですね。なますは色が綺麗なのでガラスの高台杯に。雑煮椀は梅唐草模様の色漆。祝いの色の赤い丸盆(角がない)にまとめました。箸袋には柳のお箸を入れて。柳は雪をかぶっても折れないところから縁起担ぎとして多く用いられています。

 これで来年はバッチリ!良き年をと願うばかりなり。屠蘇器はくれぐれも蹴飛ばさないようにお願いします。

 追伸 ギャラリーで可愛い鏡餅見つけました。伊万里焼ですよ~

メニュー黒豆、紅白かまぼこ、田作り、紅白なます、雑煮、お屠蘇、お節料理
松竹梅着物型豆皿 畑萬陶苑(伊万里焼)
ガラス高台杯 HOYA(東京)
黒梅唐草雑煮椀 メーカー不詳
竹梅手付き銚子 高橋敬典氏
杯・杯台 メーカー不詳
四君子丸紋三段重(石川県・金沢塗)
朱モダン菊丸盆(富山県・高岡塗)
お飾り鏡餅鯛 川副青山(伊万里焼)
テーブルクロスコボリ(栃木県)