九州発!田中ゆかりのテーブル通信[10]6月:梅雨時を爽やかに 器の衣替え

 今年はテラスのバラが沢山の花を咲かせてくれました。玄関やリビング、洗面所などいたるところに飾っては眺め、花に浮かれて過ごしました。気がつけば、九州北部は6月5日ごろに梅雨入りだとか。私にとって、一年で最も苦手な季節です。だって、湿度が高くなると髪の毛はボーっと膨らむし、家中じっとり。大切な洋服やバッグはもとより、お盆や食器にもカビが生えるのですから。
 こんな季節には少しでも爽やかに過ごしたいもの。そこで、いくつかご提案いたします。まず、ステイホームで断捨離できた人もできなかった人も、お部屋の整理整頓でスッキリ、さっぱりするということです。整理とは、いるモノといらないモノを分けること。整頓とは、いるモノのありかを決め、使ったら再びそこにしまうこと。部屋にモノが多いとお掃除がしにくいばかりか、気温や湿度が高くなり暑苦しく感じますので、整理整頓の効果大です。次は気分が変わったところで、器の衣替えをいたしましょう。食器棚をじっくりのぞいてみてください。お気に入りの良くお使いになられる器の奥の方に「あれ、こんなのもあった」、「涼しそうな色合いね」、「薄手で爽やかね」、「透かしがお洒落ね」などと思うものが目に入ったら、棚の前の方に出してみてください。これから秋まで食卓で大活躍してくれると思います。そのほかにガラスや金属、竹かごなどもプラスするとお家にいながら料亭気分が楽しめます。また、厚手のテーブルクロスより薄手のランナーや涼しげなランチョンマットに変えるだけでもお部屋を模様替えしたような気分が味わえます。
 さて、今日の食卓は涼やかに見えるでしょうか?七夕にちなんでそうめんを楽しむことにしました。七夕といえば、子どもの頃笹飾りをよく作りました。短冊に「お習字が上手になりますように」と願い事を書いて、つりさげていた事を思い出します。そして、「織姫と彦星が天の川を渡って一年に一度会えますように、どうか雨は降らないでね」と祈っていました。おませだったのかしら。
 テーブルには涼しそうなランナーを敷き、呉須巻きの兜鉢には氷水の中に金銀豆腐と風知草の葉を浮かべて笹飾りに見立てました。兜鉢とは、深型の皿をひっくり返すと武士の兜の形に似ていることからこの名がつきました。金は卵豆腐、銀は白豆腐、氷水の中でぷかぷか浮かんでいる様は涼感を呼ぶおもてなしと、ご家族やお客様にも喜ばれます。私は豆腐を切るだけなのですが(オホホッ)。風情のあるしょうゆさしも添えて。
 吹きガラスの小鉢にはスイカの皮のお漬物、お煎餅のような黒の平皿には枝豆と海老の天ぷら、竹ざるには極細のそうめんを。色絵の蕎麦猪口にはつゆを入れ薬味は3種類、ごま、ねぎ、しょうがを面白い形の三品盛に。私はこれを使うたびに、ミラーマンのサングラス(古いね~)みたいだなといつも思うのです。作者の遊び心が感じられ、楽しくなってくるのです。
 仕上げは箸置きです。20年ほど昔に友人にいただいたもので、ガラスの中央に青いすじの線と銀色のキラキラが入っています。箱を開けた時、とても綺麗だったので「天の川」と名付けて今日まで大切に使っている宝物です。
 器は単に料理を盛るだけでなく、器にまつわる物語や季節のあしらいなど、さまざまな楽しみがあります。それらをうまくコーディネートして新しい発見をしていきましょう。それでは、いただきます。

メニュー金銀豆腐、スイカの皮の漬け物、枝豆と海老の天ぷら、そうめん
呉須巻き兜鉢 「梅」の名あり(砥部焼)
青磁取り鉢 草山窯(有田焼)
レトロ汁次 白山陶器(波佐見焼)
黒唐津平皿 土屋由紀子(唐津焼)
吹きガラス小鉢 20年ほど前に岡山の雑貨店で購入
珍味三品盛 伝平窯(有田焼)
色絵蕎麦猪口 正木春蔵(九谷焼)
箸置き 作者未詳 友人より
竹ざる 山下工芸(大分県)
竹箸 山下工芸(大分県)
テーブルランナーマニラ麻と綿の手織り(フィリピンお土産)
トレイ松くり盆  25年ほど前に道具屋で購入