鍋島、有田、三川内焼の新作発表イベント「響心―kyoshin―」(主催・スタジオストレイル、佐藤由美子代表、共催・東京建物)が10月20日、東京・京橋「KITCHEN STUDIO SUIBA」で開催された。畑萬陶苑・畑石眞嗣、李荘窯・寺内信二、平戸松山窯・中里月度務、中里進也の4氏と佐藤氏がコラボレーションした新作和食器のコーディネート展示のほか、東京・京橋のグランメゾン「シェ・イノ」の古賀純二シェフによる盛り付けデモンストレーションを実施した。
畑石作品は牡丹、竹文柄の高台皿に、佐藤氏は洋食、ほかの食器との調和を求め、高台に金を巻き、西洋磁器上絵付け技法の彩色もアクセントとして加えた。寺内作品は、余白を生かしたうえに染付牡丹唐草がびっしり描き込まれ、中央には18世紀に流行した五弁花、縁にプラチナを施したものなど。佐藤氏は重ねた時の美しさをと、径22~10センチの3サイズを展開した。
献上唐子の名手、月度務氏には珍しい瓔珞(ようらく)文様をリクエスト。リム部にリズミカルにならぶ模様は、白磁に無国籍な美しさを映した。三川内の細工物、なかでも「根付」を得意とする進也氏に依頼したのは尺皿。縁の立った部分や皿面に3センチほどの唐子やカエルが配された上、皿面をフラットにという要望で、自身がろくろ成形、通常縁の外側に配す唐子も同氏希望で縁から皿外をのぞくスタイル。4作家いずれの作品も受注販売とした。
また「現代の名工」でもある古賀シェフは、4人の食器にオマール海老、コンソメ、フリッター、実家の佐賀・武雄の栗を使ったデザートを盛りつけた。
佐藤氏は「コロナ禍で厳しい状況にある全国の伝統工芸産地に思いを馳せ、ものづくりの伝統と技術に触れて頂きたく、今回の会とした。私が尊敬する窯元の良さに、コラボによって新しく生まれる世界を目指した。産地への思いを重ね、互いに響き合わせて」と話した。
同氏は「有田・伊万里やきもの夏まつり」「テーブルウェアフェステバル」、百貨店での企画展や作家個展のコーディネートを広く手掛るほか、セミナーの開催、ポーセリンペインティング作家としても活躍。また同施設は昨年2月にオープンしたシェアキッチンスペース。東京建物が、八重洲、日本橋、京橋エリアの賑わい創出を目的に開業した。