二宮コレクション 土岐市美濃陶磁歴史館

「白釉黒格子掛大鉢」 濱田庄司 土岐市美濃陶磁歴史館蔵

 「二宮コレクション 初代土岐市長二宮安徳が描いた夢」が、岐阜県の土岐市美濃陶磁歴史館で、11月29日まで開催されている。
 二宮安徳氏は初代土岐市長として、1955年から5期20年にわたり、市政を牽引した人物だ。そのかたわら、文化や芸術にも強い関心を持ち、文化人や政治家、実業家など幅広い分野の人々との交流を通し、多くの作品を蒐集していた。1973年、市長退任を控えた二宮氏は土岐市への恩返しとして、また文化の醸成・発展への強い思いを託して、長年にわたり蒐集したコレクションの一切を、市に寄贈した。約400点に上る二宮コレクションは、土岐市美濃陶磁歴史館の礎となるコレクションとして、今も同館に大切に保管されている。
 同館では2013年度に二宮コレクションの陶磁器に焦点を当てた展覧会を開催しているが、今回はコレクションの中から、土岐市や岐阜県に由来を持つ陶芸家や画家、特に交友の深かった文化人たちの作品を中心に、二宮氏の文化芸術への思いを振り返っている。
 見どころのひとつが、挿絵画家の田中比左良、洋画家の坂井範一など、これまで同館で公開される機会の少なかった絵画や書のコレクションが公開されていること。また濱田庄司や棟方志功、バーナード・リーチなどとの交流からは、民芸運動を通じ勢いに乗る益子への熱い視線も垣間見ることができる。
 当時の時代の雰囲気や、二宮氏の窯業への思いを解説したパネル展示もあり、約50点の作品とともに、その業績を振り返る展覧会となっている。

土岐市美濃陶磁歴史館