「茶の湯にみる伝統工芸 桃山・江戸から昭和へ」が、名古屋市の桑山美術館で、12月1日まで開催されている。
茶の湯では、唐物中心の「書院の茶」から、簡素の中に美を見出す「侘び茶」へと移り変わる中、朝鮮半島から渡来した陶工により始められた唐津や萩、さらに国産初の磁器である伊万里焼など、茶道具としての工芸品が日本各地で生産されるようになった。同展では江戸時代以前から用いられた茶道具とともに、主に昭和時代に活躍した陶芸家や、漆器、金工などの現代工芸家の作品をならべて紹介している。
展示は「侘び茶以前」「侘び茶以降」に始まり、「唐津」「志野」「備前」「信楽」「萩」「青磁」と進む。「志野」では桃山時代の志野茶碗や鼠志野茶碗と、荒川豊蔵、加藤唐九郎、加藤卓男、鈴木蔵、加藤孝造といった美濃を代表する陶芸家による志野茶碗が競演。「備前」では古備前の壺や茶入とならんで、金重陶陽作「備前耳付花入」や北大路魯山人作「備前ススキ四方平鉢」、藤原雄作「備前片口水指」が出品されている。展示ケースでは、江戸時代の楽家4代一入と5代宗入の「黒楽茶碗」に対し、15代吉左衛門による黒茶碗を配置。伝統的な作品とともに、伝統を継承しながらも、個性が発揮された昭和の作品をともに鑑賞することができる展覧会だ。
学芸員によるギャラリートークが、11月16日午後2時から行われる。