2020年に新設されたアワード「日本和文化グランプリ」(主催・(一社)日本和文化振興プロジェクト、近藤誠一代表理事)の初の授賞式、さらに受賞作家作品展示販売会が11月5~13日、羽田空港内で実施された。
11月9日の授賞式はコロナ禍のため、第1、第2回を合同で表彰。第1回の募集テーマは「伝統と未来」、応募の中から、グランプリ・最優秀賞1点(副賞50万円)に輝いたのは、中川木工芸比良工房(滋賀県)の木桶、「Wave」・「YORISHIRO」の2シリーズ。第2回テーマ「和文化、未来へ!」では、グランプリには台湾人の羅琪(ロチ)氏のちり取り・ほうき「Chiritori×Houki」が受賞。同氏は20年から天童木工で商品開発デザイナーを務め、日本国内でも多数の受賞歴をもつ。
業界関連では、第1回優秀賞に、瀬戸・樽田裕史氏作磁器「ゆらぎ」や、青木伸介氏の漆芸「湛(たた)える」が選ばれた。第2回準グランプリには、金沢・藤田和氏の酒器「和nagomiの酒器」、佐々木岳人氏の漆芸「Ether」が選ばれ、表彰された。
磁器「ゆらぎ」は、蛍手の技法を用いた作品。「心地よいゆらぎになるように、光と曲線、青白磁釉の青色により柔らかな雰囲気を出しつつ、線による蛍手と彫りによる緊張感が程よく入り混じった作品」と評された。藤田氏はガラスに漆で加飾。「漆や箔(はく)などの伝統技法をさりげなく幾重にもつかいながらそこに『植物という生』のいきづかいをもたらす。現代的なエコロジーのとりこみ」と講評された。
樽田氏は「第1回ということで挑戦。販売までの支援で新しい顧客との接点も得られた」、藤田氏は「審査員に自分の作品を見てもらいたく応募。東京での展示機会は少なく、得難い」と述べた。
同プロジェクトは、元文化庁長官の近藤氏が陣頭指揮、ユナイテッドアローズ名誉会長・重松理氏、伊場仙14代目当主・吉田誠男氏が副代表理事を務め、審査委員長は三田村有純氏、審査委員はシャネル合同会社会長や秋元雄史氏など各界で活躍する11人。国籍居住地、年齢は不問、和文化に携わる企業、団体、個人を対象に、日本が誇る優れた作品を顕彰し、受賞者には需要拡大のためのフォロー、和文化の担い手の持続的な活動を継続してサポートする。
第3回の募集は5月31日まで。受賞者及び応募の詳細は同グランプリのウェブから。