信楽焼が好調に 伝統的工芸品展「WAZA2020」

東武百貨店 池袋店8階の催事場で催された伝統的工芸品展 WAZA2020

 全国の伝統的工芸品が一堂に集結する物産展「暮らしに寄り添う、ニッポンの美 伝統的工芸品展WAZA2020」が2月20~25日、東武百貨店池袋店8階催事場で開催された。
 この時期恒例のイベントで、今回は陶磁器14産地を含む約100産地の伝統的工芸品に加え、約30の各県産の工芸品も出品。今年は3連休に重なる開催で、会期前半の客足は好調だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、会期後半は鈍い客足となった。
 今回の特別企画として、エッセイストやクリエーティブディレクターとして活躍する松浦弥太郎氏とモデルや女優として活動する高山都さんが信楽焼、津軽塗、越前打刃物、岩谷堂箪笥、牛首紬、京小紋、秩父銘仙の7産品をピックアップして取材し、同展パンフレットに記事を掲載したほか、会場でも特別展示スペースを設けてアピールした。また列品解説も催し、22日は松浦氏が信楽焼や岩谷堂箪笥などについて、23日は着物研究家の森田空美氏が牛首紬や京小紋などについて魅力を紹介。このほか、三川内焼の下絵付け、川連漆器の沈金、甲州手彫り印章の篆刻(てんこく)などの体験コーナーや、各ブースでは技の実演が連日繰り広げられた。

今回の特別企画コーナー

 今回はNHKの連続テレビ小説「スカーレット」の影響もあって、信楽焼のコーナーが人気を集めた。特に、かわいらしい眼差しのタヌキの置物や「絞り出し正直急須」がよく売れたという。三川内焼では光雲窯のクジラをモチーフにした取り皿などが人気となった。信楽と三川内のブースでは実演も行った。陶磁器ではこのほか、会津本郷焼、大堀相馬焼、美濃焼、九谷焼、石見焼、備前焼、萩焼、大谷焼、上野焼、小石原焼、波佐見焼、薩摩焼が出品された。
 12産地が出品した漆器では、津軽塗ブースが唐塗(からぬり)の手の込んだ工程を紹介したほか、秀衡塗のブースでは実演も実施。金工品は15社と10人の作家によるバリエーション豊富な南部鉄器のほか、大阪浪華錫器や実演を披露した東京銀器などが展開された。例年注目を集める岩谷堂箪笥は、いくつもの赤札がつく相変わらずの人気ぶりをみせた。
 同百貨店催事部統括マネージャーの深井英孝氏は「話題のある産地の商品と高額品が好調となった。高額品では、初出店の津軽塗の弁当箱や、種類を増やして展開した岩谷堂の箪笥が良く動いた」と述べた。