「松岡コレクション めぐりあうものたち Vol.1」が、東京・白金台の松岡美術館で、7月24日まで開催されている。
同館は、創設者の松岡清次郎氏が、オークションや公募展などで巡り会った、約2400点のコレクションを収蔵している。今年はそんな「出会い」をテーマにした企画展を開催。その第1弾となる今回は、「二色(ふたいろ)の美」「故きを温ねて」「中国青銅器 形と用途」という展示構成で、この内「二色の美」で、2トーンカラーの中国陶磁が紹介されている。
限られた色での多様な表現とその変遷を紹介しながら、古代中国で生まれた私達の生活に根付く色彩観、五行思想にも目を向ける展示が興味深い。ここでは館蔵の中国陶磁コレクションから磁州窯や景徳鎮窯の作品を中心に2色のコントラストが映える43作品を出品。白、黒、青、黄、赤と色ごとに展示されている。
例えば青では、「青花魚藻文大盤」などの染付作品がならぶ。元王朝の時代に成立した青と白の爽やかなコントラストは、今も多くの人を魅了してやまないが、元王朝をつくった遊牧民であるモンゴル人にとって、青は神聖な天空の色、白はその空に浮かぶ雲であり、また遊牧民にとって大切な乳製品の色でもあるという。そんな説明を頭に入れて、個々の作品に目を向けるのも面白い。ここには同館所蔵の至宝の1つ「青花龍唐草文天球瓶」も引き続き展示されている。
また、今回は展示室の片側に民窯である磁州窯の黒と白の作品が、もう片側に景徳鎮官窯の端正な作品が配置され、民窯と官窯の作風の違いにも注目したい。学芸員の山口翼氏は「二色がめぐりあう美を楽しみながら、古代から連綿と受け継がれてきた色彩感覚に思いを馳せていただければ幸い」と話している。