桃山陶に見る変革 サンリツ服部美術館で企画展(1/27更新:会期延長)

「志野茶碗銘岩橋」桃山時代 16~17世紀 サンリツ服部美術館蔵

 1万2千年ともいわれる長い日本の陶磁史の中で、最も大きな変革期を迎えた桃山時代のやきものに注目する展覧会が、諏訪市のサンリツ服部美術館で開催されている。「桃山陶器 日本のやきものの革命」で4月11日まで。
 同展は4章構成。第1章「土と炎が生み出す美」には、備前、信楽、伊賀の花入や水指などがならぶ。これらは古くから暮らしの器を作ってきた地域だが、桃山時代になると侘び茶の影響を受け、茶の湯の道具を作るようになった。自然釉がもたらす偶然の美などが茶人の心を捉え、目で見て楽しむ器へと変貌した。
 第2章「色鮮やかな美濃のやきもの」には、黄瀬戸、瀬戸黒、志野が登場。美濃の桃山陶は色も形もさまざま。それ以前の時代に比べると、パッと目がさめるような変化だ。これには釉薬の改善に加え、窯の改良が大きな役割を果たしており、熱効率の改善が鮮やかな色彩を生み出している。また窯の大型化は大量生産を可能とし、美濃を陶磁器の一大産地へと導いた。
 第3章は「九州にひろがるやきものの技」。肥前というと、やきものの産地という印象が強いが、実は桃山時代以前はそうではなかった。転機となったのが秀吉の朝鮮出兵。朝鮮の陶工から最先端の技術が九州にもたらされ、高い技術に裏打ちされた「唐津」が生産された。
 第4章「桃山の粋を集めて」では、これまでの技術を集め、桃山の集大成として作られた「織部」が披露されている。
 独立ケースには今回初公開となる「志野茶碗銘岩橋」が展示されている。高台は十字の割高台で胴の形も変化に富んでいる。「志野は日本独特のやきものといわれますが、朝鮮の影響を思わせる作品」と同館学芸員の藤生明日美氏は語っている。

1月27日付更新
 美術館の発表により、「3月7日まで」となっていた会期を「4月11日まで」に延長

サンリツ服部美術館