益子陶芸美術館(栃木県益子町)で3月27日まで、企画展「The Fourth Dimension うつわの未来へ」が開かれている。やきものの基本形である「うつわ」のあり方を見つめる国内外33人の作品約50点を展示している。益子国際工芸交流事業との連携企画。
同展における「うつわ」とは、必ずしも実用陶器を意味しない。たとえば、服部真紀子氏の「黙座」はフリル状のテクスチュアを無数に集積させた造形が、結果として器形を彷彿とさせる抽象表現であり、近藤高弘氏の「白磁大壺」は2つの器を上下に重ね合わせ、その大きさにおいて、陶の生成プロセスの中で生まれる作為と偶然のあり方を問いかける。壺や食器などから喚起される普遍的なイメージではなく、作り手と受け手の美的体験への飽くことのない追求心にしたがってコンセプトを変えていくのが「うつわ」だ。
鑑賞にあたり、「空間との関係性」「記憶の喚起」「現象の先へ」など手引きとなるキーワードも用意されている。吉河歩香学芸員は「どのような作家がどのような作品を制作しているのか、ぜひご覧いただけたら」と話している。