九州発!田中ゆかりのテーブル通信[79]6月:梅雨時を爽やかに乗り切る

 九州の梅雨入りは6月4日でした。それ以来しばらくは雨が続きましたが、ここのところは曇り続きです。時折晴れ間ものぞき、一時的に気温や湿度が異常に高くなると、体がついていきません。

 先日実家に帰ったところ、またまた草が生い茂り、郵便配達の方が玄関までたどり着けない状態になっていました。さっそく庭木の伐採を「いつものおじさん」にお願いすると、3日ほどで見違えるように綺麗になりました。作業中に何気なく「ところでおいくつになられますか?」と年齢を尋ねたら、「82歳ですよ。いつまで来られるかなぁ?」と言われてびっくり! 恐縮してしまいました。庭の梅の木にはたくさんの実がなっています。その恵みに感謝しつつ梅の実を収穫し、梅酒用に仕込みました。瓶の中で氷砂糖が少しずつ溶けていく様子を見るのは、この時期の楽しみの一つです。

 実家のキッチンでは、食洗機の調子が悪く水が漏れていました。慌てて、いつもお願いしている電気屋さんの社長に来ていただきました。後からその社長の弟さんも来て手伝ってくれました。お会いするのが久しぶりでしたので、お茶を出して雑談していると、また年齢の話になり、電気屋の社長は85歳、その弟さんは80歳ということが分かり、またまた驚きました。「あ~、これから実家の管理は誰に頼めばよいのでしょう……」と思うと、気持ちが晴れませんでした。

 気を取り直して、お酒のお話を。 先日、長崎県波佐見町にある今里酒造の「六十余州」という冷酒に舌鼓を打っていました。真夏の暑い日はとにかく喉が渇くので、生ビールをグイッとやるのが一番なのですが、まだそれほど暑くないし、「今の季節は冷酒かな」となりました。それで、久しぶりに私の「ぐい呑みコレクション」を取り出してみました。コレクションの小さなものは丸い手つきの籠に、大きなものは角型の籠に分けて入れています。これらの中から、気分によって「今日はこれ」と選ぶのです。来客がある時も、お客様それぞれに選んでいただくのでさらに盛り上がります。約50個のコレクションの中からお好みの器を自分で選んで楽しむので、また味も格別というわけです。

 今回はそのぐい呑みコレクションの中から、いくつかをご紹介します。

京焼・清水焼の5点

高さが親指の第一関節くらいの可愛いサイズで、中国の卵殻手(らんかくで)を思わせる生地のうす~い磁器の杯です。京都旅行で食事をしたときに、あまりの可愛らしさに分けてもらったものです。手に取ると当時の風景がよみがえります。

唐津焼の2点

ショットグラスのような焼き締めの筒型は中里隆さん、粉引きは中里大亀さんの作品です。飽きのこないシンプルなデザインは、モダンな空間にもマッチします。

有田焼2点と波佐見焼

 左手前が有田焼・真右エ門窯の辰砂(しんしゃ)の器。宝石のような艶やかな赤がパッと華やかにしてくれます。
 真ん中が有田焼・草山窯の作品。呉須(ごす)で「寿」の文字がたくさん書かれてあり、おめでたい時に活躍します。もともとデミタスカップだったのですがソーサーを割ってしまい、捨てるには忍びなくぐい呑みにしてしまいました。残念ながら現在この窯はありません。
 一番奥が波佐見焼・永峰窯の青白磁のぐい呑みです。縁が薄くて軽くて口当たりがよく、サイズや形が見るからに上品です。

冷酒「博多の杜」(小林酒造本店)、新玉ねぎのピクルス、枝豆の塩ゆで、フルーツトマトの塩昆布和え

 杯やぐい呑みは飲むためだけでなく、ちょっとしたおつまみや珍味を入れても楽しめます。「見立て使い」という茶の湯の文化から引き継がれた、日本の暮らしの知恵ですね。今回の食卓では、この「見立て使い」に挑戦してみました。冷酒は超辛口純米酒「博多の杜」をショットグラス風の焼き締めで。 おつまみは、存在感のある唐津焼(陶房空窯・府川泉さん)の三島手大杯に「新玉ねぎのピクルス」を。粉引きのぐい呑みには「枝豆の塩ゆで」、手つきカップには「フルーツトマトの塩昆布和え」をそれぞれ盛ってみました。ガラスのフラワーベースには、スモークツリーの一枝を挿してみました。少しは涼やかになったかな?

皆様も、梅雨時の「おうち時間」が楽しくなる器使いに挑戦してみましょう。来月には梅雨が明けているといいですね。

メニュー冷酒「博多の杜」(小林酒造本店)、新玉ねぎのピクルス、枝豆の塩ゆで、フルーツトマトの塩昆布和え
焼き締め筒型杯 中里隆(唐津焼)
粉引きぐい吞み 中里大亀(唐津焼)
三島手大杯 府川泉(陶房空)(唐津焼)
呉須刷毛寿紋デミタスカップ 草山窯(有田焼)
そのほか トレイ IKEA(スウェーデン)
フラワーベース IKEA(スウェーデン)