九州発!田中ゆかりのテーブル通信[53]3月:春の喜びを食卓に

クロワッサン、フルーツ、ヨーグルト、紅茶

 やっと春めいてきました。先月に慌ててバラの木の選定をしましたが、もう新しい新芽が顔を出しています。朝方、澄み切った空気の中、お庭で洗濯物を干していると小鳥のさえずりが聞こえてきました。どんな鳥かは見えないのですが、その声がとても明るく、可愛らしく、楽しそうなのです。なぜだか私は「あぁ、小鳥もうれしいのね」と勝手に思いながら、季節が巡ってきたことを実感します。

 今、私は身の回りを断捨離中なのですが、物に対する思い入れが強すぎてなかなか進みません。はっきり言って苦しい作業です。「大げさな~」と思われるかもしれませんが、断捨離する本人は真剣なのです。テーブルコーディネーターという仕事柄、教室で生徒さんに本物を見せてあげたいとの一心から集めてきたたくさんの食器やテーブルクロス、それを取り巻く小物たち。また、コーディネートの時に役に立つと思えばお洒落な紅茶の空き缶さえも取っておく始末。それが何十年も続いて、今では膨大な量に。自分でも呆れてしまいます。かつて恩師が「苦しい事は良き事の前触れよ」と励ましてくださったことを思い出します。早く新しい自分になりたいものです。

 先日友人が訪ねてきてくれた時に、手作りのリースをいただきました。木の枝を丸くまとめた輪にはうように可愛いミモザの花が咲いています。とても懐かしい気持ちになり、「ああ、この季節ね」と思いました。というのは、私の実家の裏庭(ほとんど畑状態)にミモザの木があり、毎年たくさんの花をつけて私たちの目を楽しませてくれていました。それがどんどん成長して大木になり、2階建ての家ぐらいの高さになったある日、強風でボキッ!と折れてしまったのです。それで弱ってしまったのか、その後枯れてなくなってしまいした。黄色くて小さな玉ころのお花が房になって風に吹かれて咲く様は、今でも私の脳裏に焼き付いています。

 さて、今月の器はそのミモザがモチーフです。真っ白な素地に描かれた花や葉には清潔感があり、微妙な柄の凹凸により絵付けが単調にならず、大胆にも思える柄の大きさと配置は今までにないお洒落な雰囲気で、多くの女性の心をときめかせているようです。このシリーズは波佐見焼メーカー・西山さんの若手女性デザイナー作で、昨年12月に開催されたテーブルウェアフェスティバルでデビューを飾りました。その会場にいたデザイナー本人は、お客様が手に取って購入する様子を真近で見て、、さぞや嬉しかったに違いありません。これからが、ますます楽しみです。

 この器から感じるはつらつとしたイメージは、ディナーというより、1日を元気にスタートしたいモーニング、明るい日差しの中でのブランチやランチタイムが良さそうですね。私はテーブルを外に出して春の喜びとともに楽しみたいです。白いカップには透明感のある紅茶が似合います。おかわりはポットにたっぷり用意して。ある時はスープも良いでしょう。小ぶりの15.5センチのプレートは受け皿にもなります。23センチのプレートには温めたクロワッサンとフルーツ、蓋付きのボウルにはヨーグルトを入れて。何だか特別な料理に感じますね。タイルのテーブルにはメッシュのランチョンマットでカジュアルに。フォークは持ち手がウッドで優しい感じ。麻のナプキンは麻ひもで縛ってミモザを一枝飾り、カジュアルな雰囲気を演出します。最後に小鳥のフィギュアも登場させて、完成です。

 今回は気分を変えて、長崎県波佐見町のギャラリー「ŌYANE」さんのテラスをお借りし、そこでこのコーディネートをセッティングしてモーニングをいただきました。なので、いつもよりちょっと贅沢な感じです。オホホッ。 

ŌYANE
メニュークロワッサン、フルーツ、ヨーグルト、紅茶
ミモザリムプレート23センチ 西山(波佐見焼)
ミモザリムプレート15.5センチ  西山(波佐見焼)
ミモザマグカップ  西山(波佐見焼)
ミモザドロップアミューズボウル  西山(波佐見焼)
ミモザポットS  西山(波佐見焼)
小鳥フィギュア  西山(波佐見焼)
ウォーターグラス イッタラ(フィンランド)
カトラリーなど カトラリー 不詳
ランチョンマット 不詳
ミモザ