九州発!田中ゆかりのテーブル通信[49]11月:お洒落な焼イモタイム

ミルクティー、焼きイモ

 庭のもみじが色づき始め、秋がより深まってまいりました。それと同時に寒くなり、もう冬支度?なんだかいつものペースではない毎日に翻弄されていますが、今月は波佐見や有田でも陶磁器まつりが開催され沢山の人出でにぎわいを見せています。私は笠間と益子陶器市を巡るチャンスに恵まれ、初めて延々と続くテントと沢山の人出を目の当たりにし、「日本人は本当に器好きだな~」とつくづく思ったのでした。ところで読者の皆様は、食欲の秋か、芸術の秋か、どちら派でしょうか?もちろんどちらもですよね。私はお陰様で腹囲と体重が少し増えているみたいです~。(涙)

 今月はとてもお洒落な器と美味しい焼きイモの組み合わせをご紹介します。焼きイモといえば、私が真っ先に思い出すのは、父が冬になる前に庭の掃除で集めた落ち葉を焚火にして焼いてくれたものです。時間はかかるのですが焦げないように上手に焼いていました。「あっち~!」といいながらほおばった記憶がよみがえります。最近はスーパーなどでも焼きイモコーナーを見かけますが、美味しいと人気だそうですね。

 先日夫が知り合いの方から掘りたてのイモを頂いてきました。箱を開けてみると、細長い紅はるかと丸っこい安納イモの2種類が入っていて、夫はそれらで焼きイモをしてほしいというのです。私が不在のときに、自分なりにオーブンで焼いたみたところ、うまくいかなかったようです。そこで私は、それらを土鍋で焼いてみることにしました。実は先日行った益子陶器市で焼イモ屋さんが出店していて、店にあった大きな素焼きのツボの中を覗いてみたところ、イモが壺の内側に沿って針金で宙に浮いたように留めてあり、「なるほど~」と感心していたところでした。

 写真の土鍋は空焚き用として使っているものです。形が外国製のお鍋みたいでかっこいいでしょう?ここに足つきの網を入れて下味をつけた豚ロース肉などを焼くと、遠赤効果でこんがりジューシーにふっくらした焼き豚ができます。これがオーブンとはまた違った味わいで、箸が止まらなくなります。イモの場合は火が通るまで時間がかかるので、早く仕上げるために蒸し焼きにしてみました。これで2種類の味比べといきましょう。足つきの網を入れて紅はるかと安納イモを一個ずつ並べ、水を300ミリリットル入れて蓋をしてガスの強火にかけます。沸騰したところで中火にして15分加熱したら火を止め、さらに15分余熱調理します。イモに竹串がスーッと通ったら取り出し、それらを縦に切り、ふり塩をしてバターを載せます。大きさにより時間は若干異なりますから、調整してみてくださいね。

 器はとてもお洒落な配色でマットな仕上がりのもの。若い窯元さんの感性が光ります。2色の釉薬の掛け分けの重なったところが、焼成すると微妙な色合いに変化し景色が生まれるのです。昨年の8月に同じシリーズの個性的な八角皿を紹介しましたが、この径20.5センチの丸い皿は、優しく包み込んでくれる包容力が魅力です。おそろいのカップは径9.5センチ、高さ6.5センチのゆったりサイズで、スープにも対応できるサイズがうれしいです。

 バター入れはお鍋の形で遊んでみました。ミニ花瓶は高さ6センチの青白磁面取りで伝統工芸士さんの作品です。そこに挿したカスミソウは、私の無茶ぶりで作家さんに頼んで、手の平とヘラで作っていただいた白磁製のもので、世界に一つだけの思い出の作品です。すでに2人とも亡くなられましたが、飾るたびに立派な作品を残していただいたといつも感動しています。

 さてさて、今日の焼イモの取り組みは、わずかながら安納イモの勝ちでした~!

メニューミルクティー、焼きイモ
ハーフマットプレート M 永峰窯(波佐見焼)
ハーフマットカップ M 永峰窯(波佐見焼)
黒釉土鍋 安楽窯(有田焼)
白磁ミニ鍋 フランフラン(東京)
白磁からやきカスミソウ 正光窯(波佐見焼)
青白磁面取りミニ花瓶 中村平三(波佐見焼)
カトラリーティースプーン MAPRA(イタリア)
バターナイフ Jean Dubost(フランス)