兵庫陶芸美術館(丹波篠山市)で5月28日まで、特別展「丹波の茶道具―茶の湯を彩る兵庫のやきもの―」が開かれている。
丹波では水指や花入、茶入や茶碗とともに茶葉を入れる耳付の壺が数多く作られた。今回展では、その造形や技法に注目した約80件を紹介。持ち手が付いた木製の桶を模した水指や木製の曲物(まげもの)を写し取った建水(けんすい)など、他の素材で作られた茶道具の姿形がやきもので表現されている。細部を忠実に表現するために赤土部(あかどべ)や灰釉(かいゆう)を使って器面装飾が行われている。あわせて、同展では由緒や伝来を伝える箱や仕覆(しふく)、書付など茶道具を語る上で重要な資料となる付属物も展示した。また、茶室を再現して茶会の雰囲気を演出した点も今回展の特徴である。
写真は「丹波『灰釉手桶形水指』」。担当学芸員の萩原英子氏は、「胴部に細い粘土紐を巡らせ、その上からヘラで斜めに線を入れて、竹で編んだ箍(たが)を表現している。器壁が薄く端正な形状から、小堀遠州(1579~1647)の好みを反映して製作されたと考えられる」としている。
5月13日、同27日いずれも午前11時から、同館学芸員によるギャラリートークがある。
兵庫陶芸美術館