日本茶の実践マーケティング キクロス出版

 静岡の製茶問屋が新たな市場に挑んだ軌跡とそのマーケティング戦略を紹介する「日本茶の実践マーケティング」がこのほど発刊された。発行はキクロス出版。A5判、208ページ。1980円(税込)。

 著者は製茶問屋を営む前田金三郎商店の前田冨佐男社長。テレビ番組「TVチャンピオン」の第1回お茶通選手権や第1回日本茶インストラクター・インストラクションコンクールでの優勝経験を経て、現在は日本茶と菓子の店「茶町KINZABURO」の運営や、茶の産業振興を図る「しずおか・茶の町コンシェル」の活動などに取り組む。

 同書の1章では「茶町KINZABURO」で前田氏が実践するマーケティングを説明。2章では茶問屋の仕事や茶どころである静岡を紹介し、3章では日本茶におけるマーケティングは今後どうあるべきかを説く。最後の4章では日本茶の基本として歴史、種類、入れ方、楽しみ方なども含めている。ところどころで急須にも触れており、「日本茶におけるマーケティング」では冒頭で「フタのない急須」を取り上げている。従来にない発想のこの道具が茶の販売に大いに役立ったことを紹介し、茶の道具とそれによる演出の提案力が大事と説明している。

 日本茶業界のマーケティングがテーマの本書だが、陶磁器・食器業界とは茶器という接点があることに加えて、抱えている課題には共通項も多く、大いにビジネスのヒントになりそうだ。