九州発!田中ゆかりのテーブル通信[34]7月:涼やかな熱中症対策

フルーツカクテル、桃の冷製、レモンミントウォーター

 例年になく早い梅雨明け宣言で、災害もなく良かったと喜んでいたのもつかの間、瞬く間に30度越えの毎日となりました。まだこの暑さに体が慣れていないせいか、知らない間に熱中症になり救急車で運ばれる人など増えているようです。

 実は私も10年くらい前でしょうか、熱中症を経験しました。夏のある日の昼食後、実家の庭や花壇の草むしりに夢中になり作業をしていたのですが、あまりの暑さに耐えかねて茶の間に戻ったところ近くのマッサージチェアに倒れこみ、そのまま意識を失ったのです。その様子を見ていた母は熱中症だとピン!ときたらしく、テレビで得た知識をもとに的確な看護をしてくれていたのでした。その方法とは、頭を冷やし首の左右の付け根を冷やし、両腕の脇の下を冷やし、太ももの付け根を冷やすというものです。今でこそ認知されていますが、その当時母はよくぞ知っていたと後で驚きました。夕方目を覚ますと体のあちこちがじっとり濡れています。頭や首には保冷剤をまいたタオルが巻き付けられており、両脇の下には袋ごと冷凍食品のホットドッグが挟んであり、左右の太ももの付け根にはミックスベジタブルの袋と枝豆の袋が載せてあり、それらが見事に解凍しているのでした。とっさの出来事に、母は冷蔵庫の保冷材も使い果たし、ついには身近にあるもので対応してくれていたのです。さすがに冷凍食品はもったいない気がして、特にホットドックは弟の好物でしたので、本人に「どうする?」と尋ねたところ、「姉ちゃんの脇の下にはさまったものなど食べとうない」と言われ苦笑いした次第です。

 というわけで、みなさんはもう覚えましたね。首・脇の下・太ももの付け根の左右を冷やす。そのために保冷材などを常に冷凍しておく、ということです。あとは水分補給ですね。喉が渇いてからゴクゴク飲むのではなく、こまめに補給するという感覚が大切です。水分は1日1.5~2リットル摂りましょうと言われますが、なかなか飲めないという方が多いですね。私もビールなら喜んでいただくのですが。

 脱水症状を改善するのは水道水よりミネラルウォーターが良いといわれています。文字通りナトリウムなどのミネラルが含まれています。また、クエン酸にはミネラルの吸収をサポートする働きもあるので合わせて摂りたいものです。果物には水分のほかに糖分やクエン酸や疲労回復のビタミンCなども多く含まれますので、ティータイムやデザートタイムにお菓子の代わりとして涼やかにいただくのもいいですね。

 今月は、この時期によく作るフルーツカクテルをご紹介します。季節の果物で、その時々の組み合わせを楽しみます。スイカ・メロン・キウイフルーツ・オレンジを小さめのさいの目切りにし、デラウェア(ブドウ)と共にボウルに入れ、はちみつと白ワインを入れ混ぜ合わせ、しばらく冷蔵庫で冷やし味をなじませます。ただそれだけなのに、フルーツから出てきたエキスとはちみつと白ワインのソースがフルーツに浸み込んで、まろやかな甘さに仕上がります。その上品な香りにはとても癒されます。少し多めに作って、余りは翌日ヨーグルトに入れたり、アイスクリームに添えたりしています。

 ここで使う器は白磁に水晶彫りを施したお洒落なカクテルグラス型。水晶彫りとは、器の生地がまだ生乾きの時に彫刻刀のような道具で窓のような穴を一つ一つ手作業であけ、その穴に特殊な粘土を埋め込んで焼成すると水晶のような輝きになるという技法です。

 桃は店頭に並ぶとどうしても買いたくなります。最近覚えたきれいなむき方で皮をむいて、氷の上に並べました。桃を並べたこの器は一見金属のように見えますが、器の表面にプラチナを塗った磁器なのです。冷たい光が涼感を誘います。蓋には透かしの穴が開いていて中身が見え隠れしています。まさしく夏の器です。

 飲み物はピッチャーにミネラルウォーターと庭のミントと国産レモンを浮かべてバースプーンで軽くステアします。薄手のグラスに注げば爽やかで味はひかえめ、フルーツカクテルの邪魔をしません。

 とても簡単なメニューで熱中症対策、いかがでしょうか。ポイントは果物で水分補給、あとは涼やかな器を選ぶことです。ご自宅の食器棚を見渡してみましょう。

 決して脇の下にホットドッグなど挟まないでくださいね。オホホっ。

メニューフルーツカクテル、桃の冷製、レモンミントウォーター
白磁水晶彫りロイヤルショートカクテル 丹心窯(波佐見焼)
白磁プラチナ巻きプレートS 丹心窯(波佐見焼)
プラチナ透かし蓋物 徳幸窯(有田焼)
ガラスピッチャー ジョン・ジェンキンズ(イギリス)
ガラスタンブラー ジョン・ジェンキンズ(イギリス)
桃のむき方は以下をご参考に