九州発!田中ゆかりのテーブル通信[41]3月:花の季節に誘われて

ベーコンと菜の花のパスタ、ミモザサラダ、トマトスープ、パン

 ずいぶん暖かくなりましたね。皆さま、おかわりございませんか? 先月は勝手ながらお休みをさせていただきました。

 2月5日、不覚にも転倒し左手首を骨折してしまい、久々に痛い思いをしました。どんどん腫れあがり妖怪のような手に。私は右利きですので不幸中の幸いでしたが、自分の不注意とはいえ不便な毎日を過ごしておりました。

 例えば、朝起きて歯を磨こうとチューブを手に取るも蓋を開けることができない、片手で顔を洗いコンタクトレンズを入れたいのだけれどケースを開けることができない、もたもたしていると、レンズがポロリと落ちてどこかに行ってしまう、そのはずみでケースが倒れ辺りが水浸しになる、顔に化粧水を塗りたいのだけれどもポンプを押すことができない、服を着替えたいのだけれどギブスを包帯でぐるぐるまきの太い腕が入る服がない、などと朝起きただけでも大騒動です。おまけに同じ頃、母が背骨を圧迫骨折してしまい親子で通う羽目になり、何とか病院に連れていくも介添えの私が腕をつっており、病院でも「異彩」を放っておりました。しかし、月日は薬ですね。少しずつ快方に向かっています。今日は頑張って何とかお料理できました。

 今日のテーマは、春の喜びです。寒くて長かった冬が終わり、コロナにおびえながら過ごしていた日々から少しずつ日常を取り戻そうという雰囲気になり、各地では花の便りが届いていますね。そんな気分を表現したいと思いました。器は波佐見焼の新作で、きれいな空のような淡く優しいブルーの釉薬に玉縁は素焼きという思い切ったデザインでありながら、不思議なナチュラルな感覚で癒されるという、そんな雰囲気です。ラフィァで編んだマットとパンかごを合わせて、さりげなく引き立てます。

 春の味といえば、フキノトウやワラビ、タケノコなど、土の中から芽吹いてきたエネルギーを感じさせるほのかな苦みが特徴です。24.5センチのメインのお皿には、ベーコンと菜の花のパスタにしました。菜の花のかすかな苦みがベーコンの油と塩気で、なんとも言えない旨味に変わります。フライパンに少し厚めのベーコンを入れ、ゆっくり熱しながら油を引き出したところに菜の花を入れて炒め、しんなりしたところにゆでたてのスパゲティーを入れ、クレイジーソルトを一振りするだけのシンプルなお料理。菜の花が手に入らない時は、ブロッコリーでも代用できます。同じアブラナ科なのでぜひお試しください。

 サラダは、昨日車中からあるお宅のお庭にミモザのお花が見事に咲き乱れているのを見つけ感動しました。その風景をミモザサラダにして直径22センチ、深さ9センチのボウルに盛りました。お好みの生野菜の上に茹で卵の白身と黄身を別々に裏ごししたものを飾ります。ブルーの釉薬に卵の黄色が生えますね。マヨネーズソースやコールスロードレッシングがおすすめです。トマトスープは甘く熟したトマトをブレンダーでつぶすだけで美味しいのですが、コンソメとオリーブオイルを加えてリッチにしてみました。私はパクチーの葉を添えたのが好きです。お口の中で、トマトとあの何とも言えない香りが広がり鼻に抜けていくのが快感で、ほとんど中毒です。

 食べる直前にパスタには、侍ジャパンのヌートバー選手のようにブラックペッパーをグラインダーでミルミルしてね。私はまだ左手が痛くてできないけど・・・・・・・。

メニューメニュー内容
テラコッタブルー 皿 利左衛門窯(波佐見焼)
テラコッタブルー 鉢 利左衛門窯(波佐見焼)
テラコッタブルー 小鉢 利左衛門窯(波佐見焼)
グラス コンランショップ(東京)
カトラリー竹サラダトング 山下工芸(大分)
竹フォーク 山下工芸(大分)
竹スプーン 山下工芸(大分)
かご、マットパンかご アーバンネイチャーアムステルダム(オランダ)
ランチョンマット アーバンネイチャーアムステルダム(オランダ)