小石原焼陶器協同組合は2月、新ブランド「Co-ishiwara(こ・いしわら)」の第1弾「小石原百碗」を発表した。
同ブランドは、工芸評論家で多摩美術大学教授・外舘和子氏が監修、愛知県立芸術大学准教授・田上知之介氏が石こうでデザインをし、小石原焼と高取焼の44窯が共同でつくる。「共同」「集合」などを意味する「Co―」を用い、今後さらに変化する社会にあっても、力を合わせて100年残り続ける価値のある「モノ」と「コト」を生み出していくという思いを込めている。
外舘氏は「小鹿田焼のいかにも民芸調のどっしりとした大らかなイメージに比べ、小石原焼は軽やかでモダンな印象がある。それが小石原の潜在能力ではないか。福島善三氏もいわばその象徴的な存在である」と述べている。磁器のデザイナーと小石原の土もの作家のコラボレーションは優れた化学反応がと、田上氏を指名。各窯は「ベース・デザイン」というデザイナーの形態を理解した上で、ろくろ成形、得意の装飾を施す手法を用いている。
「百碗」にはマルワ窯、カネハ窯、蔵人窯、高取焼宗家、辰巳窯、マルダイ窯、森山實山窯の7窯が参加、計20種を仕上げた。5客の飯碗が入れ子となっており、機能だけでなく、重ねた美しさも見所、5客1組が桐箱に収まる。田上氏は「幼児から大人までが使えるものとしてデザインした。ろくろ成形だからこそ可能となるアウトラインを意識しながら、つぼみが花咲く成長のイメージで構成した」と話した。第2段はプレートを計画、23年のリリースを予定する。
東京では2月に丸の内で、福岡では3月にアートギャラリーで発表会を催した。小石原焼ホームページ「天空の窯郷」で外舘氏と田上氏による発表会の詳細が見られる。
「天空の窯郷」(小石原焼陶器協同組合)