九州発!田中ゆかりのテーブル通信[21]6月:衣替えの季節、器も気分もリフレッシュ

 九州は先月中頃に梅雨入りしたせいか、真夏日の中休みのせいなのか、今年はことのほか長く感じます。例年は7月まで降り続け、最後にドーッと恐ろしく降ったら何故か夏休み前にはスカッと明けるというパターンのようですが、この様子では、まだ本番ではないようです。大雨の度に「どうか災害になりませんように」と祈らずにはいられません。また、長引くコロナの影響でおうち時間が多くなり、美味しいものを食べて太ったり、体重計を見て気持ちが落ち込んだりとますます知恵と工夫がいりそうです。
 6月は夏の始まり、青い梅が店頭に並ぶころ学生の制服は長袖から半袖へと衣替えの季節です。気温や湿度が上がると衣服のみならず、食べるものも熱々から冷たいものが好まれるようになります。この時期に器や食器棚など見渡して、夏の準備をすることはとても良いことだと思います。自分のお気に入りの器を夏向けに変えると、食卓の風景もガラリと変わり、それを囲む人の気分も変わり、お話の内容も変わるかもしれませんね。
 今月はジメジメとしたスッキリしない毎日の気分を爽やかにしたいと思います。やはり夏の器の定番は、ガラスや竹、青白磁や青磁、瑠璃釉や呉須、銀やプラチナなどの冷たい輝きなど、また、レースを思わせる透かしの技法などがいかにも涼しそうで好まれるようです。また、器の厚みが薄手のものは、目にした時や唇に触れた時に爽やかな印象を受けます。これらは寒い冬には食器棚の奥に収まっていますが、使いやすいように前列センターに移動させます。お掃除も兼ねて一石二鳥というわけです。
 写真の器はマットな質感の白磁、回りや見込みには手彫りならではのカンナの模様が爽やかな青磁の釉薬に映え、端整な形とは対照的で不思議な新しさを感じます。本日のメニューは冷やしそうめん。私は細くて歯ごたえがある方が好きです。氷を浮かべキンキンに冷えた麺ののどごしは格別です。室温が1度でも下がるように、見た目も涼しく考えましょう。大きいボウルが直径19センチ、高さ6.8センチ、中が14センチ、高さ3.8センチ、小が12センチ、高さ2.2センチです。器の雰囲気をできるだけ壊さないようなグラスやフラスコを選びました。麺つゆを入れます。市販の「○○のつゆ」と書かれたボトルは絶対に合いませぬ。テーブルクロスも丈の長いものやもったりした雰囲気のものは難しいでしょう。モダンで涼しい感じのネット状のランチョンマットを合わせます。樹脂製ですから、しょうゆなどこぼしても流しでパッと洗って、ササッと布巾で拭けば大丈夫です。
 私の自宅の庭には色とりどりの紫陽花(アジサイ)が咲いています。それを、器や料理より目立たないように白色の花をガラスのベースに入れてみました。ガラス製で浮き輪のような5~8.5センチの可愛い花入れで、小さな穴が開いています。テーブルコーディネートのお稽古の残りの花でも十分に生かされ重宝しています。食卓にお花が一輪あるだけで、その場の雰囲気が和みますよ。ぜひお試しください。

メニューイカの天ぷら、冷やしそうめん、薬味(ミョウガ、大葉、ショウガ)
ブルースプレッド ボールL 一真陶苑(波佐見)
ブルースプレッド ボールS 一真陶苑(波佐見)
ブルースプレッド ボールSS 一真陶苑(波佐見)
グラス コンランショップ(東京)
フラスコ はなわくすい(波佐見)
竹箸 山下工芸(大分)
アジサイ
花入れ sghr(菅原工芸硝子、千葉)
ランチョンマットコンランショップ(東京)