高岡市の鋳物メーカー、能作・能作克治社長の著書「踊る町工場」(ダイヤモンド社、四六判、234ページ、税別1500円)がこのほど発刊した。
同書を記すきっかけを「半年の入院手術を経て復帰した。若い社員が私がおらずとも仕事を回せるようになっていた。また身体を悪くしたことで、自分の思いを後世に伝えたいと思った」と能作氏は話す。
ショルダータイトルは「社員15倍!見学者300倍!」「伝統産業とひとをつなぐ『能作』の秘密」。本文は5章構成。第1章・社員教育をしないと、社員が早く育つ理由、第2章・「曲がる食器」のアイデアはこうして生まれた、第3章・なぜ、営業しなくても、売上が10倍になったのか、第4章・同業他社と戦わず地域と共存共栄しながら、見学者が300倍になった仕組み、第5章・あえて計画は立てず、やりたいことは全部やる。このほかプロローグや特別付録などもある。
27歳(1984年)で能作家に婿入りして現在61歳。30数年の軌跡が赤裸々に自身の口から語られている。約20年も前から地場メーカーとして「共存・共栄」の道を模索し、近年若い起業家やデザイン・マーケティング業界でよく耳にする「共創」を実践していた点に気が付く。「(仕事を)楽しむこと」が原動力と本書で語っているが、楽しむことは時間を忘れさせ、同じ人間との出会いの機会が得られ、それが「共創」に繋がっていく。