
千葉県最大級の屋外マーケット「にわのわ アート&クラフトフェア・チバ」(主催・同実行委員会)が6月7、8日、千葉県・佐倉市の佐倉城址公園本丸跡地で開催された。出店は全90組(うち陶磁器23、ガラス8、木工・漆15、その他の陶関連2ほか)、家族連れやクラフトファンら約1万7千人でにぎわった。
今年の陶磁器関連は初参加の作り手が多い印象。中でも注目したのは會田雄亮研究所勤務を経て独立した静岡・芦澤和洋氏。同氏は今回、白地にベンガラを用いた赤い斬新なスリップウエアを展開した。草間彌生的なドットやミナのタンバリン模様をほうふつとさせ、流動的ではなく幾何学模様でリズムを生んでいる。また美大出身の埼玉・田川舞氏や美容師留学から陶芸に転身した静岡・山本将太郎氏、京都と読谷で学んだ鉄絵とイッチンの西川真衣(京都)など今後が楽しみな作り手や、麻布のリストランテのシェフで自らの作品に料理を盛る福田憲一氏も登場した。
このほか千葉・江口智己氏は10数年ぶりの参加。瀬戸や美濃の伝統的な技法を用いて和食器を中心に制作、ブース内にでは「向付」の説明書を貼った。昨年に続く冨金原塊(ふきんばらかい、京都)氏はコロナ禍を契機に趣味の読書からクジラやシロクマといった動物のブックエンドを制作。京都蔦屋書店での常設、都内同書店での個展と活躍する。今年は新作のアニマルボトルキャップも披露した。加えて毎年整理券を配布する千葉・うつわやみたす、同・志村和晃氏、同・高木浩二氏、多治見・石黒剛一郎・桑田智香子氏ら、古参メンバーも健在、ファンとの交流にも花が咲いていた。
コロナ禍以降のアート的な作品増加の傾向は今年も継続中で、ガラス、木、陶、金属素材の照明・ランプシェードの作品も目立った。また会場では中国人の姿が例年以上に多く、「網紅(ワンホン)」と呼ばれるインフルエンサーも現れ、作品を手にしてスマートフォンで配信、次々とブースを渡り歩いていた。出店者によると、購入制限、整理券のある人気作り手のブースでは、子どもと一緒にならび、作品を確保しているのだという。初参加の富山・堀野自由里(じゅり)氏のガラス作品は、1人5点という制限付き、開場2時間で初日分が完売となっていたのには驚いた。
実行委員は「好天で昨年同様の来場者。多くのクラフトイベントがある中、これからもより『にわのわ』らしく、作家に寄り添う形を模索していきたいと思う」と話した。




