
東京・六本木の「21_21 DESIGN SIGHT」で「ラーメンどんぶり展」が開催されている。会期は6月15日まで。
本展のディレクターを務めるのは美術ライターの橋本麻里氏とグラフィックデザイナーで同館館長でもある佐藤卓氏。両氏は2012年から美濃焼に関するプロジェクトに取り組んでおり、14年に松屋銀座で「美濃のラーメンどんぶり展」を開催。ロサンゼルスとサンパウロの「ジャパン・ハウス」、地元・多治見を巡回し、話題を集めた。同展では今や国民食であるラーメンを多角的な視点から「探究」すると同時に、美濃焼の魅力に触れるものとなっている。
冒頭では、ラーメンが登場するさまざまなマンガの一コマや、日本のラーメン店市場、世界の即席麵市場などをグラフィックで展示し、「ラーメンの歴史と現在」をひも解く。ラーメン店の環境を想起させる音のインスタレーション作品を体験することも可能だ。続く展示室では、ラーメンと丼をデザインの視点で外側から内側まで26項目に分けて徹底的に解剖。また、ラーメン丼コレクターの加賀保行氏がコレクションした、日本全国のラーメン店の丼約250個が並ぶ様子は圧巻だ。

続くギャラリーには、アーティストやデザイナーなど多彩な著名人による全40点の丼とレンゲがずらりと並ぶ。個々の丼は、作者の想いと共に360度回転する展示台に設置されており、側面に描かれた図柄などもじっくり堪能することができる。また、これらの丼は購入も可能だ。最後のエリアでは美濃焼にとって欠かせない「土」や、食器から工業製品まで自由自在な美濃焼のバリエーションを展示。最後に不要になった器を回収、リサイクルする「Re食器」プロジェクトについても紹介している。
一般にはあまり知られていないが、現在日本で使用されているラーメンどんぶりの9割が美濃焼である。本展を通して、多くの人が美濃焼の魅力に触れると同時に、やきものの未来について思いを馳せる機会にもなればと願う。