東急電鉄、JR東日本、東京地下鉄は11月1日、東京・渋谷駅前に複合施設「渋谷スクランブルスクエア」第1期(東棟)をオープンした。同地区で最も高い約230メートル、地上47階建てで、展望施設、オフィス、物販・飲食の駅直結大規模複合施設。開業4日間で予想を上回る33万人が来館した。
地下2階~14階の商業施設部分には全213店舗、年間売上目標は400億円とする。上質な審美眼を持つ生活者、高感度な女性、自分らしく生きる都市生活者、情報収集力の高い観光客をターゲットとし、1日乗降客数330万人を誇る渋谷駅直結の好立地を生かし、来店頻度を高める食関連のテナントを地下2階~1階に集積、強化している。駅直結の2階はカフェ、ファッション雑貨、フラワーショップなどが、3階は高級ブランドショップ、4~9階は高感度ファッション、雑貨、ビューティ関連が出店。10~14階には、飲食店とライフスタイル関連のショップが出店する。
10階で展開する東急ハンズ
10階ではほぼ1フロアをフル使用した「東急ハンズ」(約1600平方メートル、3万5000アイテム)の渋谷2号店が大きく構えた。店内にはドローンの試走コースを設け、限定ショップや日本初上陸ブランド店などをインショップのスタイルで店舗を構成する。得意の素材系を減らし、美容・文具にシフト、さらに充実した食器類の展開が多いのも特徴の一つとなっている。同社広報は「ふりの客や観光客、渋谷店を遠いと感じている顧客に対応した『ハンズ渋谷店への入り口』と位置付けている。店舗間の商品移動による購入にも対応する」と話す。
中川政七商店は旗艦店を出店
11階には400平方メートル以上となる過去最大の「中川政七商店」の旗艦店が登場。全国の作り手の約4000の商品を14のコーナーで紹介する。店内中央にはメソド・山田游氏のバイイングで各地から集めた「『今』の工芸」を紹介する「仝(おどう)」スペース、その手前の1カ月ごとの企画展スペースでは、「中川政七のものづくり」を開催、美濃や信楽など多くの陶磁器や漆器類なども見られた。
11階ではまた、TSUTAYAの「シェアラウンジ」を併設する新業態店舗も注目だ。100席以上あり、電源、Wi―Fi、スマホ充電、フリードリンク&軽食を備え、街を一望できるロケーションで、90分1500円から利用可能。一度は使ってみたい魅力的なサービスだ。
その他の展開
ライフスタイル関連ショップは14階に複数出店。「 「GOOD DESIGN STORE TOKYO by NOHARA」は、「KITTE 丸の内」に続く2号店を出店し、1号店のほぼ半分のスペース約92平方メートルの売り場で約200アイテムを扱う。土産など持ち帰りやすいものが中心で、G型しょうゆ差しや、「1616/ arita japan」などもならぶ。箸の老舗メーカー「兵左衛門」(約38平方メートル)は「ここでしか買うことの出来ない、職人たちの遊び場」をテーマに限定アイテムのみで構成する実験店舗を構える。オリジナルプリント桐箱をメーンとして壁一面にビジュアル感たっぷりに配置している。
さらにステーショナリーを中心としたセレクトショップ「マークスタイル トウキョー」がギンザ・シックスに続いてオープン。銀座と同様にギャラリースペースを併設し、渋谷エリアに合わせたカルチュアルな企画を提案する。物販ではガラス、金属器に香蘭社のマルチカップなど、カップ類を数多く扱う。
9階に出店するフランフランはこれまで宇田川町にあった渋谷店を同施設に移転した。ピンクゴールドの曲線のじゅう器を用い、テイストで商品を陳列する。ピンクとブルーのリボンシリーズなどの食器に加え、イタリア高級ブランド「ベルサーチ」ホームコレクションから、ドイツ・ローゼンタール製の貯金箱など同店限定で展開する。
8階には世界中から定番と呼べるものだけを集めた「THE SHOP」の、直営店3店舗目の旗艦店(約83平方メートル)が出店。ストアウィンドウや、企画イベントスペースを新たに設計した集大成店舗で、デンマーク王室御用達のカトラリー工場と作る「THE CUTLERY」などの新商品も登場した。「ブランドファンの多い渋谷に旗艦店出店を果たせた」と米津雄社長は述べた。
このほか、マリメッコ(5階)は食器類も展開。話題の展望台渋谷スカイの土産物ショップでは、キハラの「TOKYO ICON」、ノベルティ制作のタイヨーのマグ類や、「おちょこで薬味栽培キット」(聖新陶芸)なども販売されている。バスケットシューズとして誕生したコンバースの店(2階)では、同店限定雑貨として、美濃焼のマグやセラミック・ジャパンとコラボした原寸コンバースをかたどった花器もならぶ。