
5月になりました。爽やかな風が吹き気持ちが良いですね。庭の植木鉢たちも活動を始め、バラも第1号が咲きました。ビヨウヤナギも花芽がついて咲き始めました。黄色の可愛い花、中心が秋には赤い実になります。そばには風に揺れるフウチソウ、初夏の訪れを感じます。


今月は上旬に静岡最南端の御前崎という海辺の町に滞在しました。テレビの天気予報で、台風の時に防波堤に高波がザブ~ンと押し寄せるシーンが映し出されますが、あの場所です。普段は温暖で風が強く、御前崎ロングビーチではサーフィンやウィンドサーフィンの大会などが行われるそうで、今年のゴールデンウィークも賑わっていました。民宿も多く、泊まると海の幸が食べきれないほど食卓に並び、これでもかというくらいにおもてなしされます。
スーパーに行くと鮮魚売り場には駿河湾の海の幸、太平洋の新鮮なカツオやマグロがたくさん並び、つい買いたくなります。市場では「しらすアイス」という名の味を想定できない珍しいアイスがあり、食べてみたかったのですが、あまりの長蛇の列ができていたため断念しました。少し車を走らせたところでは、車道の両脇に美しい緑の茶畑が広がり、ちょうど茶摘みの時期でした。その奥には大好きな富士山が!な、な、なんて美しいのでしょう‼15年ほど前に初めて目の前でナマの富士山を見た時は本当に「感動!」でした。それまでテレビや映画、写真、飛行機からでしか見たことがありませんでしたから。「静岡の人はいいな~。毎日この風景を見ながら生活できるなんて。」と思ったものです。それ以降、私の富士山好きは始まりました。でも、登山はしないの。登ったら見えないから。オホホっ。



今日はそんな御前崎を思いながら、お気に入りの器をご紹介します。まず一の膳は私の好きなマグロの山かけです。佐賀県多久市・天平窯の黒唐津で、大ぶりの抹茶碗を手前とその向かいから押してへこませたような向付です。静岡産マグロの赤身と山芋の白のコントラストが映える色を、と考え選びました。仕上げに有明産干し海苔を振りかけてワサビを添え、しょうゆの香りとともにいただきます。ああ、これは日本酒が飲みたくなります。掛川の美酒「開運」というお酒の力にあやかりましょう。イタリアのムラーノガラス杯で華やかに。富士山の箸置きは長崎・波佐見町出身で今は長野在住の陶芸家、兒玉悠紀さんの作品です。呉須と雪化粧の山の姿も美しいですが、モクモクした力強い雲が山を一層神々しく引き立てています。富士山好きにはたまりません。個展を訪れた際に記念に求めました。
二の膳は駿河湾のシラスをふわふわの釜揚げにして、ご飯にのせます。シラスが海の風味を丸ごと運んできてくれたような、そのままいただいても十分な旨みです。かき氷を舌の上に乗せたときのようにふわっと消えてなくなる、そんなシラスの軽やかさ。飯碗は波佐見焼の一真窯作。飛びかんな模様に薄紫の絵の具を重ねた風合いと碗の形は夕焼けの富士山を思わせます。勝手に「赤富士」と呼んでおります。実は、呉須の絵の具の「青富士」も持っていましたが、粗相をして割ってしまいました(涙)。近々「2代目青富士」を求めようと思います。

あとは、ひょうたん型の豆皿にぬか漬けを。小皿も丸ばかりではなく、時々は変形のものも組み合わせて、集める楽しさや使う楽しさを味わってください。そして、新茶特有の若葉の香りと旨味を水出しで、エナメル彩のガラスコップに注いて爽やかにいただきます。少量ながらも満たされたひととき。旅の思い出が蘇りました。
そんな思い出に浸っていたら、庭で夫の声が。「ゆかり~、早く、はやくきて~!」何やら植木鉢をのぞき込んでいます。慌てて近づいてのぞき込むと、「ん?何?なにこれ~!」。2年ほど前に、食べた後に残ったパイナップルの葉の部分を遊び半分で鉢植えにしていました。それが今では直径80センチほどに大きくなり、放射状に延びてとがった葉は、危険な雰囲気。冬場に室内に取り込むと、結構な場所を取って厄介な存在になっていました。そんな鉢をのぞき込むと、何やら塊が。「もしかして、できちゃったの?赤ちゃん?」これから、静かに優しく見守っていきたいと思います。









メニュー | 一の膳:まぐろ山かけ干し海苔ワサビ添え・日本酒(開運) 二の膳:釜揚げシラスご飯・糠漬け・新茶 |
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器 |
一の膳 黒唐津沓形向付 天平窯(佐賀県多久市) 富士山箸置き 兒玉悠紀(長野県諏訪郡) ガラス杯 ムラーノガラス(ベネチアガラス)(イタリア) 竹トレイ IKEA(スウェーデン) 二の膳 飛び鉋飯碗(紫)一真窯(波佐見焼) 豆皿(瓢箪)エッセンス 西海陶器(波佐見焼) グラス 不詳(雑貨店で購入) |
カトラリー | 箸 福西惣兵衛商店(会津塗) |