「HULS GALLERY – Joo Chiat」 シンガポール注目エリアのジョー・チャットにオープン

禅の精神を映し出した落ち着いた空間の店内

 日本工芸の海外展開を専門とするHULS(東京都・柴田裕介社長)は2024年秋、シンガポールで3店舗目となる「HULS GALLERY – Joo Chiat」をジョー・チャット地区にオープンした。

 同社は2017年に同国・ダクストンヒルに1号店を開設。日本各地に根ざした工芸品の小売りおよび同国内のファインダイニング向けの卸事業で、富裕層やビジネスパーソンを中心に顧客を獲得してきた。19年東京赤坂に「HULS GALLERY TOKYO」、22年にはシンガポールのベイエリアの高級商業施設「ミレニアウォーク」に出店、同店4店舗目が「禅的メディテーション」をコンセプトとするジョー・チャット店だ。シンガポールでは近年ビジネスパーソンや若者を中心に、精神面の健康意識が高まっていることから、禅との関わりの深い商品や日本の伝統的な美意識を持つ工芸品を通じて、気持ちを静め、癒しのある生活を提案する。

 店内(約30平方メートル)では、和蝋燭(ろうそく)、坐禅・瞑想(めいそう)用クッション、高岡の金工の香立て、有田焼の茶器といった日常の中で深呼吸する大切さを気づかせてくれる商品約80アイテムを扱う。陶磁器では瑞浪の深山、備前のDaikura、有田の文山製陶や李荘窯の花器や茶器を中心にセレクト、さらに李荘窯の新作として小急須や蓋付きマグなどもラインアップする。内装は東京店も手掛けた松村和典氏。曲線を生かした柔らかなデザインで統一し、禅の精神を映し出した落ち着きのある空間で、工芸品のほか、奈良県月ヶ瀬の茶農家の茶葉、燕三条のステンレスボトル「TSUTSU」、天然エッセンシャルオイルなども扱い、上質な日本製品とともに、余白のあるライフスタイルを提案している。

 ジョー・チャットは、島内の東側に位置し、15世紀後半から数世紀にわたってシンガポールやマレーシアに移住してきた中華系移民の子孫の文化、プラナカン文化が色濃く残るエリア。色鮮やかなショップハウスが立ち並び、撮影スポットとしても人気で、近年ではカフェやヨガスタジオなどがオープンし、多くの若者が集う。同ギャラリーが出店するアールデコ様式の建物は、インテリアショップ「グラファンクト」が管理運営し、24年9月に再開発された施設内には、グラファンクトのほか、デザインスタジオやカフェ、ワインショップなどが入居、シンガポールの新たなライフスタイル発信施設として注目されている。なお7周年を迎えたダクストンヒル店では、昨年暮れに幸兵衛窯・加藤亮太郎氏の個展を開催した。