九州発!田中ゆかりのテーブル通信[37]10月:島の恵みで午後のお茶

つのまき、島バナナ、黒糖くるみ、抹茶、タンカンジェリー。一番手前の謎めいたものは・・・!?

 異常気象が続く中にも朝夕は肌寒く感じられるこの頃です。今月は秋の季節感たっぷりの記事をと考えてはいたのですが、先月末に奄美大島に旅行に行くことになり、今月は種子島・屋久島に行くチャンスに恵まれ、心はすっかり南国気分。今もそれを引きずっております。

 奄美大島はシュノーケリングが目的のプライベートな旅行で、透き通った海に潜れば、サンゴ礁の中を美しいドレスで着飾った無数の魚たちが優雅に泳いでおり、もう気分は人魚姫?です。夜になれば黒糖焼酎に舌鼓を打ち、煮物碗のふたを開けると大きな煮豚がドーンと出てきて日本料理とはずいぶん違う雰囲気。「琉球王朝~!」と、勝手に思ったのでした。

 屋久島では、屋久スギをはじめとした山の自然の雄大さに包まれて、心と体の大きな癒しの時間となりました。森の中で自然に植物が発芽し成長し、やがて朽ち果てて解体され、それらが栄養分となり、また再生して行くさまを見て、「人間も同じだなぁ」と。最近よく耳にする SDG’s のことなど考えたり、トレッキングを楽しんだり。屋久島内のツアーなどを企画するモスオーシャンハウスの今村さんが、ガイドとして付き添ってくださったときの休憩中に、山の湧水を汲み、道端にもかかわらず持参した鉄瓶でわざわざ湯を沸かして月桃茶を入れてくれたことには、大変驚きました。美味しいのはもちろんですが、なんと飲む器が波佐見焼だったことです。翌日立ち寄ったお店のランチも波佐見焼のワンプレートでした。本当にご縁を感じました。

 種子島では海の幸を堪能しました。どのお店に行っても、これでもかというくらいのお料理が次々に運ばれ、「もう満腹です~」という頃に伊勢海老の刺身が来る。豊富にあるからできることです。うらやましい。これが種子島のおもてなしスタイルなのですね。ほぼ拷問に近いです(笑)。

 旅行といえば最後にお土産。焼酎や水産加工品、お菓子は定番ですが、種子島最終日にトンミー市場に連れて行ってもらえました。小さな道の駅みたいなところです。珍しいものがありました。一番買いたかったのはドラゴンフルーツの苗(120円)です。しかし長さ40センチ、幅4センチはありそうなひも状のサボテンで、苗ポットに土と共に入っています。持ち帰りを考えるとこの大きさは二の足を踏みます。しかもこれから寒い冬、泣く泣く断念しました。

 というわけで、今回のおやつの時間はこの市場で求めたものです。波佐見焼の薄手の正角白磁手彫銘々皿にそれぞれ載せてみました。手前のお皿には、つのまき。月桃の葉でもち米を包んだほんのり甘いちまきのようなもの。真ん中は可愛いサイズの島バナナで、本来の香りが強くねっとりとして甘い感じ。小皿には黒糖くるみ。クルミのサクサク感と黒糖独特の甘さ、でも、ベタっとしない後味スッキリ。(ちなみに魚を煮る時はサトウキビ100%の島ザラメを使っています。砂糖の香りとコクが出ますよ~)

 お皿とは対照的に、黒唐津のどっしりとした抹茶碗は、口元きりり、少しずつ裾が広がって再びきりり、締めくくりが良い感じです。モダンな白磁のお皿に似合う形でしょう?口の中で広がる黒糖の香りと味に抹茶はぴったりです。抹茶ってこんなにおいしかったのねと、再確認しました。

 最後はタンカン(ミカンの一種)ジュースで作ったジェリー。ジュースに甘みがあるので、ゼラチンと白ワインを少し加えて冷やすだけ。色がきれいなので、グラスに入れてみました。

 手前に緑の謎めいたものがありますが、これはモンステラの実です。モンステラといえば、オフィスやリゾートホテルのフロアーでよく見かける観葉植物です。一鉢それなりのお値段ですが、ここでは道端にたくさん栄えています。私はてっきり土に埋めて育てるのだと思っていたら、しばらくほったらかしにして黄色くなったら食べるそうな。「え~っ!?」と、びっくり仰天でした。早く黄色にな~れ。
 夫に見せたらドン引きされました(笑)。

メニュー抹茶、つのまき、島バナナ、黒糖くるみ、タンカンジェリー
黒唐津抹茶碗 中里花子(唐津焼)
白磁手彫り正角銘々皿 一真窯(波佐見焼)
白磁手彫り正角小皿 一真窯(波佐見焼)
グラス コンランショップ(東京)
カトラリースプーン MEPRA(イタリア)
テーブルクロスコボリ(宇都宮市)