「古伊万里幻獣大全展」3月21日まで 戸栗美術館

 寅年の今年、江戸時代に魔除けや強さの象徴として親しまれたトラを中心に、瑞兆として尊ばれたリュウやホウオウ、キリンなどの幻獣や、物語に登場する動物に注目して古伊万里を紹介する「古伊万里幻獣大全展」が、東京・渋谷の戸栗美術館で、3月21日まで開催されている。

 ゲームやアニメなどのサブカルチャーを中心に、最近は目にすることの多い「幻獣」という言葉。伝説や伝承上の動物を意味するようだが、実在の動物の中にも、特別な力を備えた存在として「幻獣」のくくりに入る動物がいる。同展では破邪招福の動物を中心に、幻獣の描かれた古伊万里約80点が紹介されている。

 あ最初に登場するのが、リュウやホウオウ、キリン、シシといった想像の存在。これらは悪いものを退ける「辟邪」や、めでたいことが起こる前触れである「瑞祥」として、古来尊ばれてきた「幻獣」たちだ。人々は健康で豊かな暮らしを願って、破邪招福のモチーフを、うつわに描いたのだろう。

 さらに江戸時代に魔除けや強さの象徴として親しまれたトラや、仙人の乗り物で長寿の象徴であるツル、数々の説話に登場し子孫繁栄や不老長寿の存在であるウサギのほか、カメ、クジャク、コイなど、物語の中で特別な意味を持った実在の動物を表した古伊万里も紹介されている。

 見どころの1つが第3展示室。創設者の戸栗亨氏が寅年生まれだったことから、トラの描かれた収蔵品が多いという同館。今回はここをトラ文様作品の部屋とし、「染付竹虎文皿」をはじめ、19作品が展示されている。
 同館は今年開館35周年を迎える。4月からはこれにちなんだ特別展4本の開催が、順次予定されている。