ショップ&ショールームを併設しオープン ヨシタ手工業デザイン室

 プロダクトデザイナー・吉田守孝氏のデザイン事務所「ヨシタ手工業デザイン室」が6月29日、ショップ&ショールーム(東京都小金井市緑町5-4-24)を併設し移転開業した。
 JR中央線武蔵小金井駅北口を東小金井駅方向に徒歩5分ほどに位置。吉田氏は、都心に近いながら「はけ」と呼ばれる国分寺崖線の湧水や雑木林といった豊かな自然にひかれて11年前に移住した。
 キッチン用品や食器などのデザインを手掛けつつ自ら販売。インテリアライフスタイル、てててなどの展示会では卸しとして、松屋銀座の人気催事「銀座手仕事直売所」では直販も行う。自宅敷地の一角を事務所としていたが、「リビングに積んだ商品在庫にそろそろ限界と。また『トリップウエア』をどこに行けば全部見られるか、と問われることが増えてきたこともあった」とショップ&ショールームを設けた理由を話す。
 デザインを手掛けた商品の流通ルートを新規開拓するため自身で売る。「トリップウエア」もその一つ、多治見の有志企業による陶磁器のリサイクルシステムから生まれた食器だ。一度窯元を旅立ち、食卓で使われ時を経て戻ってくる。そんなイメージから「旅するうつわ」と命名した。パンフレット制作から販売までに関わり、地元飲食店「にしまきごはん」でも採用された。
 事務所移転計画から、春・夏と展示会参加を予定しない中でのコロナ禍。個人向けネット販売だけでなく、海外からの卸しの問い合わせが増えている。「コロナ禍前よりメールなどによる順調な商談が続く。10年の販売実績と経験がようやく生きてきた」といい、小売りの実体験から「リサイクル食器のストーリーに共感する手応えが強くなっている」と述べた。9月にはデザイントウキョーで「トリップウエア」の新色をプレ発表予定だ。
 同氏は柳工業デザイン研究会を経て2011年に独立。実家は九谷焼窯元の錦山窯。吉田美統氏の次男で兄は幸央氏。

ヨシタ手工業デザイン室