「茶人を魅了した中国陶磁―見立てから茶道具の注文、そして写しへ―」が、大阪市中央区の湯木美術館で、8月2日まで開催されている。
室町時代から18世紀頃までの茶の湯のシーンで、多くの茶人を魅了した中国陶磁を、同館の館蔵品でたどる展覧会。展示は3部構成になっている。「茶道具に見立てられたやきもの」では、主に室町時代に珍重された、唐物としての中国陶磁が紹介される。中でもいわゆる唐物茶入は、貴重なものとされたが、元は薬壺とも種壺ともいわれ、中国での用途や産地などはいまだに判然としていない。これらは日本の茶人が独自の審美眼により、茶の湯の道具として見立てたものだ。このコーナーでは唐物茶入のほか、花入や茶碗などが展示されている。
江戸時代になると茶の湯は興隆。中国に注文して茶道具を誂えるようになった。「日本からの注文品」のコーナーでは、青色顔料で絵付けをした古染付や祥瑞など、今日まで伝世する日本からの注文品とみられるやきものがならぶ。重要文化財「祥瑞蜜柑水指」もその1つ。上から押されたかのように横に広がった円形のフォルムは、まさにミカンのよう。特徴的な造形の上に、青で描かれた片身代わりの文様は、色の配置も美しい。今回は回転台に展示されており、360度その魅力を堪能することができる。