珠洲焼展覧会、東京・渋谷ヒカリエと石川・珠洲焼資料館で開催

「櫛目印花格子文壺」 13世紀(鎌倉時代) 珠洲焼資料館蔵 写真=大川裕弘

 珠洲焼復興40周年・珠洲焼資料館開館30周年を記念し、珠洲焼の代表作がならぶ展覧会が、東京・渋谷ヒカリエと石川・珠洲焼資料館で、開催される。
 珠洲焼は平安時代末期から室町時代後期にかけて、珠洲市を中心とした一帯で生産された黒いやきもの。中世日本を代表するやきもののひとつだ。須恵器の系統を継ぎ、紐作りで成形したのち、「還元焔」で焼成。無釉だが焼成時の自然釉が、独特の景色を生み出している。
能登半島の先端に築かれた窯で焼かれた珠洲焼は、舟に乗せられ日本海ルートで、北陸の各地や東北、さらに北海道まで運ばれたという。最盛期の14世紀には、日本列島の4分の1を、商圏とするまでの規模になった。しかし戦国時代の15世紀後半、こつ然と姿を消してしまう。その理由は現在も解明されていない。
長らく「幻の古陶」と呼ばれてきた珠洲焼だが、約500年を経て1979年に復興された。89年には石川県の伝統的工芸品の指定を受け、現在では珠洲焼に取り組む窯元や陶芸家も増えている。
 渋谷ヒカリエでは、9月18~29日に、8階8/CUBEを会場に、珠洲焼を知るための、魅力を凝縮した代表作約20点を展示。28、29日には「珠洲やきもの講座」や珠洲「物産展」が開催される。
 また珠洲焼資料館では、10月5日~11月10日に、個人コレクションなどこれまであまり目に触れられなかった作品を含む、珠洲焼の代表作約70点が公開展示される。