ロゴタイプを決定 東京国立近代美術館工芸館

 東京国立近代美術館工芸館は、今年夏に石川県(金沢市出羽町3―2)に移転する。これに伴って、通称となる「国立工芸館」のロゴタイプがこのほど決まった。
 制作したのは、UMA / design farm(代表・原田祐馬氏)。今後国立工芸館のサインとして活用される。制作にあたって原田氏が着目したのは、「工」という漢字だったという。「工」という字はたった3本の線で構成されていて、どのような書体であっても要素と構成がとてもシンプルなものだ。また古い字形を調べても甲骨文字なども含め、古代から変わらない稀有な文字の1つだという。文化人類学者の竹村真一氏は著書の中で、「工芸や人工の工という字は、もともと2本の横棒で表現された「天」と「地」を結びつける「人」の営みを表していた」と記している。
 これに感銘を受けた原田氏が、工芸作品をよく見ていくと、手の反復する動きによって、作品が形づくられていることに気がついたという。また、その反復から生まれたものを自立させる重力も感じることができる。こうした観点から、「工芸」らしい字形を作ることができないか試行錯誤し、上下のラインを支える中心の線に、重心を感じるエレメントをつけ、シンプルさの中に力強さを持たせたロゴタイプが作られたということだ。