九州発!田中ゆかりのテーブル通信[8]4月:出世祈願・子どもたちが大喜び!な端午ランチ

 5月5日は「端午の節句」です。最近では、あまり見かけなくなった光景ですが、男の子のいる家ではこいのぼりを立てて、武者人形を飾り、菖蒲湯に入るなどします。
 昔、中国から伝わったといわれていますが、この日に菖蒲やヨモギを門に吊るしたり、ショウブの根や葉を酒に浸して飲んだりして、邪気払いをしてきました。平安時代になると、宮中では流鏑馬(やぶさめ)や競馬などの勇壮な行事を行うようになり、ショウブは尚武・勝負にも通じることから、男の子はショウブの葉でつくった剣や兜で遊ぶようになっていきます。江戸時代になると、武家の男子の出世祈願の日ということになり、この頃から鯉のぼりが興ります。これは武士の旗指物や吹き流しが基になっているようです。徳川幕府が「端午の節句」を五節句の一つに定めてからは、勇壮な武者人形を家の中で飾るようになり、また、中国の「龍門を登って鯉が龍になった」という故事にあやかり、難関を突破し成功へと至るようにと、親が子供の出世を願うために鯉のぼりを立てるようになりました。
 鯉のぼりの竿の先端には籠玉といわれる玉がついていて、その下に矢車があります。神を招くと同時に魔よけの意味があります。さらにその下に、赤・青・黄・白・黒の五色の吹き流し。これが邪気を祓い、龍は近づくことができず、鯉を食べることができないのです。鯉は家族を表し、黒の真鯉が父親、赤の緋鯉が母親、その下の子鯉が子どもにあたります。ちなみに、私の弟が生まれた時も庭には屋根より高い鯉のぼりが設置されました。その時の父の大変な喜びようを、この時期になるとよく思い出します。この頃、良く食べていたのがちまきや柏餅です。柏は新しい葉が生えないと古い葉が落ちないことから、後継ぎが絶えないとの願いが込められているそうです。

 今回は子どもの日の、子どものための、端午のランチです。テーブルクロスはあえて使わずに、雑貨屋で求めたランチョンマットで気軽に。小皿には小さなお寿司と卵焼きを鯉のぼりならぬアミューズスタンドに載せてみました。上から食べていくと、真鯉・緋鯉・子鯉の絵柄が見えてくる計算です。鯉の絵が見えたら、子供も喜んで全部食べてくれるでしょう。染付・赤・黄緑色の鯉は、鱗一つ一つを職人が手で描いています。柏餅の皿は、川の流れのようなしのぎの模様にところどころ釉が溜まった爽やかな青磁。立夏の季節から夏にかけて使いたくなる逸品です。小さなガラスコップには麦茶を。テーブルには博多ビードロの兜を涼やかに飾ってみました。

 こどもの日にはお子さんの好きな食べ物を盛り付けて、思い出に残るような楽しいランチタイムで喜ばせてあげてください。食卓を通して「こんなに愛しているよ」とお子さん伝えてほしいです。

メニューサーモン握りずし、鉄火巻き、かっぱ巻き、卵焼き、柏餅、麦茶
端午の節句小皿揃い 畑萬陶苑(伊万里焼)
アミューズスタンド 畑萬陶苑
青磁楕円小皿 観山窯(有田焼)
ガラスコップ DURALEX フランス
博多ビードロ 粋工房・山﨑真一作(福岡県)
花と鉢カランコエ
染付三つ足鉢カバー 瀬兵窯(伊万里焼)