松屋銀座の「手仕事直売所」に83の作り手が集結

83の作り手による5000アイテムが一堂に展示

 松屋銀座は「創業150年記念 銀座・手仕事直売所」を9月10~16日開催。11回目の今年は新規16組を含む83の作り手が集まった。
 圧巻の特集「『今の暮らし』を潤す民藝」は新規6組を含む計12組の約5000アイテムを集積して見せ、人気の、スリップウエアの先駆けともいえる小代焼ふもと窯が初登場。また滋賀・七尾うた子氏の素朴で力強い食器、益子焼の重厚感と、艶のある瑠璃色が魅力の益子・阿久津忠雄・雅士親子、生命力あふれる黄色い食器を作る常滑・鳥居あい氏などの初参加作家の個性が初日から注目を集めた。鳥居氏は「多くのお客様が購入、感謝と驚きでいっぱい」と話した。

鳥居あい氏のラインアップがならぶ売り場

 同百貨店バイヤー・松田日奈子氏は「10年後の暮らしの中でも輝き続けているであろう『手仕事』という初心のテーマに返り、食器類は今回増やした。作り手との交流の場やワークショップを充実させ、満足度を高められることに注力」と語った。会場の飲食コーナースペースでは一人問屋「スタジオ木瓜」の日野明子氏が聞き手となり、作り手らと語る「民藝の作り手宵話」のほか、音楽を聴きながら仕事に従事する機会が多いことから作り手有志がDJを実演。参加費7千円という瀬戸本業焼「馬の目ワークショップ」など計6回すべてが完売、長崎・てつ工房の小島鐵平氏のスリップ実演には人だかりができていた。

長崎のてつ工房の小島鐵平氏のスリップ実演

 また四日市・三陶も初めて参加、デザイナー・小野里奈氏を迎えた新作耐熱シリーズ「kanae」を小売り初披露した。小野氏は会場で接客に当たり、独自のフォルムと、鍋蓋の持ちやすさ軽さをアピール。このほか、瑞浪、益子、備前、砥部、小鹿田などの産地メーカー、陶芸家や窯元のほか、「炻器」シリーズの「SyuRo」、リサイクル食器「トリップ ウェア」のヨシタ手工業デザイン室、すすむ屋茶店、盆栽の塩津植物研究所などの多様な分野の陶磁器類が一堂に会した。松田バイヤーは「どこまでこだわって品ぞろえができるか、また非日常であろう作り手の世界にどれだけお客様を引き込むことができるかに挑戦。これらが本催事の11年目の新しい一歩として受け止めていただけるか不安も多かった。結果目標対前年101%を上回る119%に終わり、お客様の支持、さらに満足を感じられ嬉しい」と同展を総括した。

三陶の新作耐熱シリーズ「kanae」を説明する小野里奈氏