茨城県陶芸美術館、「いきもの狂想曲―陶芸フィギュアの現在―」を開催

「ゾウムシ様」 奥村巴菜氏 2015年 個人蔵

 近年デパートやギャラリーなどで個展を覗くと、生き物をモチーフにした作品を目にすることが増えた。テーブルなどを飾る「フィギュリン」ではなく、個人作家が作品として制作する「フィギュア」だ。そんな作品を集めた展覧会が、笠間市の茨城県陶芸美術館で開催されている。「いきもの狂想曲―陶芸フィギュアの現在―」で、11月24日まで。
 陶芸の世界に新しいスタイルの表現が次々と現れ始めた2000年前後の頃、人や動物などの生き物を題材とした「フィギュア」と称すべき作品が登場する。作家自身が愛着や興味のある生き物をモチーフに選び、モチーフが持つ魅力と、陶芸ならではの表現の魅力を、いかに融合させるかという課題に、真正面から向き合うことで生まれた陶芸フィギュア。単純なリアルさや可愛らしさだけでない、強烈な存在感を放っている。
 同展では陶芸作家17人に、ガラス、革工芸、金工の作家4人を加え、21人の作品により、陶芸におけるフィギュアの魅力を紹介している。
 出品作品は1作家につき5~10件ほどで、計158件。生き物本来のリアルな形と、オリジナルな作り手の発想とが見事な融合を見せる作品あり、作家自身が考えたストーリーや、情景などを背景にした作品あり、さらにアクションフィギュアやアニメなどのサブカルチャー的な雰囲気が漂う作品もあり、大人から子供まで見て楽しめる展示となっている。
 出品作家によるアーティストトークも行われている。11月は16日午後1時半から奥村巴菜氏と宮本果林氏が登場する。