色絵磁器作家・牟田陽日氏の作品集「美の器」(芸術新聞社、B5判変・144頁、税抜2800円)がこのほど発売となった。帯には「融通無碍なる九谷焼の新しい姿」。本書は牟田氏(能美市)のぐい呑み、茶碗を中心とした130点以上の作品(オールカラー)を掲載、自身による作品解説や、コラムも収録される。
たとえば「えびす」(クジラのこと、表紙作品)モチーフの頁では「手びねりというと素朴な味わいという表現に慣れがあるけれど、そういった印象にはむしろならないように試みている」「岩や木のような自然物の模倣と誇張が繰り返された癖の強い形を求めていく」と「自分の形」を特徴づけると牟田氏は記す。
昨年同社は九谷焼作家93人を紹介する「九谷モダン」を発刊、その際に「牟田氏の作品に心をわしづかみされ、工芸や美術の枠を超えて、多くの人たちに知られるべき作家」と企画担当者は述べる。
牟田氏は英国でファインアートを学び、知人から贈られた九谷焼の急須がきっかけで九谷焼技術研究所の門をたたいた。2016年パラミタ陶芸大賞を受賞、日本橋三越本店での昨年の個展では抽選販売の上完売という人気作家だ。初の作品集の出版に「まず自分の言葉でしっかり本を紡ぎたかった。そして本棚に、牟田作品の驚異の部屋があるような一冊に仕上げた」と話す。
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