
老舗食器・キッチン雑貨専門店の㈱菊屋(東京都、宮﨑浩彰社長)は5月以降、相次いで3つの新店舗を開業している。
ららテラス川口店
5月末に開業したのは、吉祥寺菊屋ブランド46店舗目となる「ららテラス川口店」。JR川口駅東口からペデストリアンデッキで直結する旧そごう川口店が「三井ショッピングパーク ららテラス川口」としてリニューアルオープンしたのと合わせて出店した。同社は4年前まで旧そごう2階にも店舗を構えていた。
同施設に8カ所ある出入口の中でも、利用者数トップ3に入るバスターミナルからのメイン動線となる、1階川口駅方面エントランスに同店は位置する。またエレベーターにも接するL字型店舗(約112平方メートル)で、ことにエントランス側の6メートル近くの壁全面とその前のじゅう器にあふれる食器のインパクトは壮観、全取扱商品の6割は和洋食器が占める。また食器だけでなく、スリッパ、弁当箱、キッチン雑貨に至るまで、全商品をメイドインジャパンで取りそろえている。宮﨑社長は「三井系列施設への出店は20年ぶり。壁の食器は一目で茶碗屋であることをアピールしたもの。広めの通路、商品のレイアウトと百貨店時代と同様にし、じっくり商品を見ていただける環境を整えた。食器は産地の手作り品であることや、日本の伝統文化を丁寧に伝えていく」と話す。
同社は「器は絶対に必要なもの、日々の生活を豊かにするもの」との信念の下、他店が安価な中国製商品にシフトしていた頃から日本製にこだわり、その中でも質の良い商品を提供してきた。「日本には素晴らしいやきものがたくさんあるからこそ、国産100%にこだわる。ハイエースの9人乗りを借り私が運転して、1週間で10件くらいの窯元を巡り買い付けに赴く」と社長。その言葉通り、九谷焼や美濃焼といった有名産地だけでなく、上野焼や小石原焼、萩焼といった小産地の商品も多い。またアンパンマンやミッフィー、ムーミンやトトロといったキャラクター食器も豊富。さらに3面ある壁面の1面では、線香、線香タイプのルームフレグランスや香を集積し、旧百貨店時代の顧客だけでなく、駅周辺の再開発による人口増加地区、ファミリー層も網羅した幅広い品ぞろえで臨む。
中嶋智里店長は「同施設にはケユカ、スリーコインズプラス、ワンズテラス、スタンダードプロダクツなど食器類も扱う店舗、さらに近年産地提携をうたった食器類も展開しているブランドもある。吉祥寺菊屋は全商品が日本製であり、食器の商品知識ならば他店に負けない。『国産の良い品』があることをきちんと伝えてアピールしていきたい」と語る。





ラスカ平塚、東武百貨店船橋店へも出店

6月には「ラスカ平塚店」のリニューアル第3弾の新ショップとして「ラスカ平塚店」をオープン。湘南エリアへの出店は同店が初となった。続いて9月4日には、東武百貨店船橋店の7階に出店。同社の百貨店リビングフロアへの出店は、丸広百貨店入間店(1994年)、グランデュオ立川店(2018年)、松坂屋上野店本館(2021年)、京急百貨店上大岡店(同年)などに続く。同百貨店4番地の「和洋食器売場」隣に位置し、売り場面積は約120平方メートル。同百貨店売場運営課の水上雅之マネージャーは「百貨店のリビングフロアは食器・キッチン、寝具・タオル、インテリアの3つが柱。和洋食器はギフト需要が高いことで、デイリーを見せ切れていなかった。菊屋のもつ商品力とその見せ方の魅力を学びつつ、フロアの強化を図りたい」と話す。
一目瞭然の茶碗屋の店構えはこれまで同様。また取扱商品の7割は和洋食器が占め、スリッパ、弁当箱、エプロンに至るまでメイドインジャパンで取りそろえている。敬老の日を目前にグラスのペアタンブラーやカップ、漆器のカップ類などのギフトや、バラエティに富んだキャラクターの子ども用食器を通路に沿った前面で展開。店舗奥に進むにつれて漆器、茶碗などのコーナー、壁面には同社の得意とする美濃焼や瀬戸焼、上野焼、小石原焼、萩焼などの窯元食器や花器類が並び、また5月に開店したららテラス川口店同様に香類を集積する。
オープン初日の朝は、多くの顧客でにぎわった。宮﨑社長は「同店に来店されるお客様のデイリーな商品ニーズを満たす店づくりを推進し、長く愛される店舗を目指していきたい」と話す。同日地下1階1・2番地の食料品売り場「いちばんち市場」がリニューアル。個食惣菜を提供する「おひとつ横丁」が誕生、その告知リーフレットには菊屋の和食器類が採用され、デイリーの食生活提案がなされた。


