(一財)伝統的工芸品産業振興協会は、全国約100産地の伝統的工芸品が集う祭典「第二回 銀座名匠市」を2月23~ 28日、東京・松屋銀座8階で開催した。
昨年から舞台を銀座に移した「全国伝統的工芸品祭 銀座名匠市―JAPAN TRADITIONAL CRAFTS GINZA ARTISAN’S STREET」。今年も東京メトロ銀座駅から、同百貨店地階入り口までの通路、ショーウインドウ、さらには1階正面入り口などを、佐藤卓氏主宰のデザイン会社が手がけたポスターでアピール、場内は祭りをイメージした実演ステージを提灯で飾り、にぎわいを創出した。さらに隣では能登半島地震の支援のため、輪島塗や山中塗といった石川の工芸を特集したほか、同百貨店は募金箱の設置、売り上げの一部を参加者に還元する仕組みも実施した。陶磁器業界からは波佐見焼、石見焼、信楽焼、萩焼、小石原焼、伊万里・有田焼、薩摩焼、三州鬼瓦の8産地が集結、ろくろや絵付けの技を披露した。
初日午後7時からは、デザイナーでアーティストの篠原ともえさんによる「銀座名匠市インスタライブ」を企画。篠原さんが出展品を直接手に取り、その魅力を伝えた。さらに2日間各日2回、全4回にわたり実施した「銀座名匠市ガイド」は、文筆家の萩原健太郎さんとともに小石原焼、山中漆器、伝統こけし(宮城)など、会場内の6産地をまわるツアー。その土地で工芸品が生まれ育まれたストーリーや豆知識を紹介した。「ポスターは現物のサイズ感を無視している。会場で、こんなに小さい?と現物に関心を高めてもらえるようにした。暮らしに取り入れたくなる工芸品の魅力を伝え、気に入りの品を見つけてほしい」と加倉敬之バイヤー。
「こけしファンは開店前から入場待ちもあるなど非常に人気が高かった。陶磁器は薩摩焼、波佐見焼、三川内焼、小石原焼の動きが良かった。今年はインバウンドや地方からの来場も多く、5千万円を突破し、前年比約120%を記録。松屋ならではの打ち出しを行ったことで、客足が途絶えず、会場を盛り上げることができた。早くも来年の開催が決まるなど、松屋の名物催事になりつつある」と2回目となる同催事を加倉氏は総括した。