合同展示会「ててて見本市」を主催する合同会社ててて協働組合は9月5~8日、東京・渋谷ストリームで90組の国内外の作り手を集め、「ててて往来市(おうらいいち)」を初開催した。毎年2月開催の見本市では3500人を動員。今回はバイヤー向けの見本市(9月5、6日)と初めての一般向け販売会(7、8日)を実施、週末の販売会には多くの来場者が詰めかけた。
会場は同ホール4~6階で構成、商談スペースや控室なども設けられたほか、再入場も可能と、さまざまな初の試みも実施した。4階では、備前・ダイクラがプロダクトデザイナー・辰野しずか氏を迎えたウォーターカラフェほかマグなどを展示販売。「一般の人の備前焼知名度の低さに驚いた」と話した。土岐市の青木良太氏は5月のデザインフェスタでは4時間で500個が完売になった人気オリジナルキャラクターのガチャガチャ「チムチムゴッドミニ」を用意した。また同階では「ててて」初参加の鹿児島の夫婦ユニット・MUSHITAROが登場。十四代沈壽官に師事し、「バイヤー向け展示会は初参加、多くの声をかけてもらった」と述べた。
5階では、有田・JICON 磁今が新作花器3種の発表とシリーズ商品を展開。木本硝子のブースではワインボトルのアップサイクル商品「フニュ」に注目が集まった。タイルの多治見・杉浦製陶「SUGY」も初出展。磁器製時計のほかタイルのイメージから作ったピアス、カフスボタンをならべ、特にピアスはポスト部分も磁器という技術に驚かされた。
6階では、多治見・サードセラミックスが新作の長楕円皿を、波佐見・アイユーはベブルデザインの石原亮太氏とのコラボレートのワンプレートや新色食器を披露。「意外に波佐見焼の知名度が一般にあり、小売りの動きも良い」と話した。また多治見・マサムラクラフト、小石原・圭秀窯らの常連陣に交じり、瀬戸・穴山大輔氏の翠窯 SUIYOUが初出店した。
このほか有田・宮崎雄太氏「器とデザイン」、常滑の食器を扱う「えんける道具店」、兵庫・王子焼などの陶磁器食器類、すずがみの高岡・シマタニ昇龍工房や木工、漆器、カトラリー、鍋類と、食器関連品を扱う出展者は3割近くにものぼった。
来場者はバイヤー1690人、一般2350人となり、「目的をもって訪れる来場者が多く、真剣にモノと向き合い、対話も弾み、作り手にとっても私たちにとっても多くの気づきのある会となった」と組合スタッフは延べた。2020年2月には見本市を改め「ててて商談会2020」を東京・スパイラルホールで開催する。