
創業110年を超える東京・合羽橋の料理道具店「釜浅商店」(釜浅商店・熊澤大介社長)は5月28日、ニューヨーク・ブルックリンに開店した新店舗のプレス発表会とレセプションパーティーを同店包丁売場で行った。
新店(34.4平方メートル、4月26日開店)は、2022年9月にブルックリンのグリーンポイントエリアにオープンした複合施設 「50 Norman」内に構え、プロ仕様の包丁、釜、鍋など、代表的な料理道具のほか、オリジナル商品も米国で初めて紹介する。同施設は、日本の魅力を発信していく新たなプラットフォームとして、フレンチ・ジャパニーズのレストラン、だし専門店、ギャラリー&ストア「CIBONE Brooklyn」で開業、施設の拡張に伴い釜浅商店、バルミューダなどが入店し、現在6ブランドが集う。施設を企画・運営するのは、「DEAN & DELUCA」「CIBONE」「HAY」など、食とデザインの2軸で良質なライフスタイル提案事業を展開する㈱ウェルカム。レセプションでは同施設のスライドを見ながら、ウェルカムの横川正紀社長と熊澤社長とのトークショーを実施した。
ブルックリン最北端のグリーンポイントエリアは元々ポーランド系の移民が多く移り住んだ場所。今では昔ながらの商店街が広がるのどかな街並みに、カフェやブティックが点在、多文化が共存し、クリエイティブとトレンドが集まる。横川氏は50 Norman開店の経緯や「礼儀正しさ、丁寧さ、季節、もったいない、心地よさ、シンプルといった日本に古くから根付く価値観を日本的思考と名付けた。これは現在世界中の生活者が日々のくらしに取り入れたい思考と重なる」「『日本的思考の輸出』をコンセプトに、この価値観によって作られたものをCIBONEが編集し取りそろえ、発信していくことでこれらの価値観が世界中の人々の生活に溶け込んでいくことを目指している」などと語った。
熊澤社長は「大きく価値観が変わり、さらに情報の表面化が進む一方、リアルな関係性に対する欲求もより強くなっていると感じる今だからこそ、私たちはあえて日本を飛び出し、日本的思考の輸出へのアプローチで新たな分野へも挑戦の幅を広げていく」と述べた。
熊澤氏は04年に家業に就いた4代目。11年B2Cに門戸を開いた店としてリブランディング、18年にフランス・パリに出店した。20年、新築した「包丁売場」と改装した「料理道具売場」の2つの店舗を拠店としている。


