松屋銀座、秋恒例の人気イベント「銀座・手仕事直売所」が9月12~18日、「集い」をテーマに開催された。今年で15回目となる同展、今回もアンバサダーにモデルの高山都さんを迎え、大切な人たちとわいわいと集う喜び、集いの時間を楽しむための手仕事、約1万点を取りそろえた。
益子、砥部、やちむん、備前などの陶産地からの常連作家や窯元らのほか、木工、漆、金属、布と、全国から作家やクラフトマン、職人、デザイナーなど約90組が出店。初参加での注目は、「陶工房斿 金重陽作」。陶工房斿は、備前焼の金重有邦門下の3人が開設した工房で、金重陽作氏は伝統的備前だけでなく、掻き落としも手掛け、同作品や釉薬を掛け分けた食器を披露した。島根・岩佐昌昭氏は、備前、信楽で学び陶芸の道に入った。夜をイメージさせる静かな青と、薄さが印象的だった。
同展に10年以上続けて参加するスリップの「てつ工房 小島鐵平」は、乾杯展では初の脚付きに挑戦したほか、手仕事15周年を記念した文字入りでトラ柄の尺皿を飾ったところ、たちまち買い手が付いたという。益子のセレクトショップ「pejite」は、オリジナルプロダクトブランド「汲古」の益子焼と木製食器が目を引いた。参加者からは「高山さんの影響で若い層の来店が増え、客層が広がった」という声が聞かれた。
また若い世代に、初めての作家物、工芸的なものを提案する特別企画展の今年は「47人の乾杯のうつわ展」を企画。過去展で大人気となった作家や民芸系窯元などを含む日本酒、ビール、ワインをイメージした酒器では、陶磁器の多様性や作り手の個性と、見応えは十分。初日には目当ての作品に走り出す顧客、初日で完売した作家も相次いだ。
会場では15周年を祝うポップと枡が各ブースに置かれたほか、15日には酒樽の鏡開きを行い、来場客にふるまった。またオンラインショップでは、同展が掲げる「10年使えるスタンダード」目線で、高山さん愛用品を中心に先行販売も含めて展開した。
バイヤーの松田日奈子氏は、「15回目という節目の祝祭感と、集える喜びを伝えたかった。またこの5年間は若い層にも手仕事の品に接してもらえるよう工夫を凝らしてきた。結果20~30代も多く集まっていただけた上、売り上げも前年比105.2%と盛会。お客様と作り手の皆様に感謝するばかり」と総括した。