美術館の収集と展示に焦点 兵庫陶芸美術館

丹波壺銘「布引」 14世紀(室町時代前期) 田中寛コレクション 兵庫県指定重要有形文化財 兵庫陶芸美術館蔵

 「教えて!兵庫陶芸美術館―収集と展示のQ&A―」が、丹波篠山市の兵庫陶芸美術館で、2月26日まで開催されている。

 2005年に丹波焼の里に開館した兵庫陶芸美術館。田中寛氏による丹波焼や兵庫県内で作られた古陶磁のコレクションを基礎に、県内産地の特徴的な陶磁器や、国内外の現代陶芸などを柱に収集を続け、現在は3000件以上を収蔵している。またこの間、やきものを専門に扱う美術館として、収蔵品を活用した企画展や、国内外の陶芸や工芸を紹介する巡回展など、年間4つの特別展と、数本のテーマ展を開催。陶芸文化の魅力を発信してきた。
 同展では、そうした美術館の活動に焦点を当てている。大きな柱となるのが「収集」と「展示」だ。この2つは美術館活動の中でも、それぞれの美術館を特徴づけるものといえるだろう。ここでは過去の展覧会を紹介するとともに、コレクションの特徴、保存、活用方などがさまざまな資料とともに紹介されている。

 展示されている77点の所蔵作品は、県内産地のやきものから現代作家による陶芸作品まで変化に富んでいる。14世紀の「丹波壺銘『布引』」にはじまり、出石の精緻な白磁、明石の色絵、東山や王地山の染付など多彩な県内産地のやきものがあれば、走泥社、富本憲吉、そして田嶋悦子、植葉香澄、桑田卓郎らによる個を表現した「芸術としての陶芸」作品もあり、見て楽しいラインナップ。

 同館では「県内の小学4年生が、丹波焼について学習するのに連携して企画した展覧会ですが、コレクションの優品を展示しており、大人の方からも『面白かった』との声をいただいています」と話している。

兵庫陶芸美術館