目でも陶酔できるウイスキーボトル展 横山美術館

左から、「酒を呑む男性」ゴトー(1975年)、「炭鉱の鉱夫」ゴトー、「砂金取り」ゴトー(1977年)、「サンフランシスコの清掃員」

 横山美術館(名古屋市東区)で来年2月28日まで、「目でも陶酔できるウイスキーボトル展」が開かれている。カウボーイや独立戦争、野生動物、大統領、銀幕のスター、自動車などをかたどったウイスキーボトルが、アメリカが最も輝いていた1950年代~70年代へと誘う。
 同展では輸出用の陶磁器製の置物「セト・ノベルティ」をつくる技術を生かして作ったウイスキーボトルを紹介。ウイスキーボトルは古き良き時代のアメリカを映すもので、主に瀬戸を産地とする陶磁器製。アメリカ人のボトルコレクションを支えたのが実は日本の陶芸産地だったことを改めて知る機会となっている。
 展示品は、アメリカン・ドリームを想像させるデザインと、栓の在り処を見せない精巧な造りが特徴。題材によっては、彫刻ほどの精緻さで迫るものもある。しかし、言うまでもなく、ボトルは決められた容量を入れる容器であり、栓と中身の漏れを防ぐ技術を備えなければならない。その上で、人目を引く華やかなデコレーションを達成している。
 ホームパーティー好きなアメリカ人のこと、ウイスキーボトルを手にきっと話も弾んだことだろう。しかし、それらが主に瀬戸を産地とする陶磁器製であったことを知る日本人は少ない。中澤麻衣学芸員は「瀬戸で作られ、アメリカに輸出されて人気を博したやきもの文化がかつてあったことを多くの方に知ってもらえれば」と来館を呼びかけている。
 会期中の第1・第3土曜日(各回13時半~、事前申込不要)、同館学芸員によるギャラリートークが開かれる。

左から、「仔山羊を抱くカウボーイと犬」ゴトー(1977年)、「カラミティ・ジョーン」ゴトー、「騎兵隊のスカウトマン」ゴトーか(1969年)