特別展「~光秀の源流~土岐明智氏と妻木氏」が、岐阜県の土岐市美濃陶磁歴史館で、9月13日まで開催されている。
今年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公明智光秀は、土岐明智氏あるいは妻木氏の出身といわれ、妻や伯父が妻木氏、さらに「妻木」と名乗った妹が信長の側室だったとされるなど、光秀と妻木氏は特に深い関係にあったことがうかがえる。
同展では500年ぶりに土岐市へ里帰りし、故郷において初公開となる「土岐家文書」をはじめ、土岐明智氏と妻木氏の菩提寺・崇禅寺に残る位牌、近年の発掘調査で明らかになった土岐明智氏の居館とみられる遺跡の出土品といった初公開資料を含めた約300点の貴重な資料から、明智光秀のルーツともいえる土岐明智氏と妻木氏の歴史をたどっている。
本能寺の変の後、妻木氏は森蘭丸の一族である森家の配下となり、関ヶ原の戦いでは東美濃で唯一東軍にくみするなど、巧みに戦乱の世を生き抜き、森家から久尻の領有を認められた。その久尻に築かれたのが本屋敷窯だ。妻木氏の庇護のもと、本屋敷窯で織部焼などの茶陶が生産されたことは、広く知られている。
第2展示室では元屋敷窯で生産された茶道具のほか、妻木城跡から出土した徳利や小杯などのやきものが展示されている。多くは陶片だが、かつて殿様が身近に使った品々だ。「志野麒麟図皿」には、中国の染付を手本に麒麟が描かれている。絵画などに描かれた麒麟とは少し趣が違うが、中国の手本がすでに本来の姿から崩れており、それをモデルにしたためという。素朴で愛らしい姿だ。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になっていた講演会が、8月29日午後1時30分から行われる予定。
土岐市美濃陶磁歴史館