九州発!田中ゆかりのテーブル通信[2]10月:ご飯の時間・お気に入りの飯碗で秋を楽しもう。

     天高く馬肥ゆる秋、収穫の季節です。私の居るところは佐賀県有田町、やきもののほかに名水百選にも選ばれるほどのきれいな水で育った棚田米が自慢です。また、隣町は長崎県波佐見町で、こちらも美しい棚田の風景が評判です。
     この季節になると、日本人なら誰もが「お米を美味しく食べたい」と思うでしょう。今回は、そのおいしいお米の食べ方についてお話しします。

     まずは、お米を美味しく炊くということですが、マイコンとかAIなどと最近は炊飯器も高性能化が進んでいますので、失敗はありませんね。しかし、私は超アナログで、毎回黒い土鍋でご飯を炊き楽しんでいます。水加減は平らにならしたお米の真ん中に中指を立て第一関節までと原始的に決めていますが、よほどのことがない限り上手に炊きあがります。鍋本体が加熱されることで出る遠赤外線熱で美味しくなるのだそうです。私のガスレンジだと沸騰するまで約8分、それから火を止めて余熱で待つこと20分、蓋を開けたとたん、ホカホカつやつやのお米が立っているのです。この瞬間はなんとも幸せな気分になります。

    新米ご飯・南瓜と青梗菜のお和え

     そのおいしいご飯をよそうのが飯碗。手に持って食べるので「手取り感」がとても大切です。飯碗は30個くらい持っていますが、中でもこの平茶碗は大のお気に入り。一般的に薄手で平たい形は春や夏爽やかにいただけるようにと選びますが、清潔感あふれる白磁に赤・黄・黄緑・紫・薄茶の輪の模様が愛らしく、毎日の朝ご飯の時に使うと元気が出てくるから不思議です。恩師愛用の品をおねだりして頂戴しましたが、うっかり粗相をして割ってしまったので、これは2代目です。一方、厚手で深型の飯碗は保温性も良く冷めにくいので、秋や冬の夕食にゆっくりとくつろいで使いたいものです。しみじみとした味わいの絵柄は混ぜご飯や炊き込みご飯などに最適です。今は秋、栗ご飯やキノコご飯、給料日には奮発してマツタケご飯などいかがでしょう。

    栗と三菜の炊き込みご飯・わかめとねぎの味噌汁・自家製糠漬け

     ご飯がおいしいとおかずはいらないそうですが、私は自家製の糠漬けをお供にします。飯碗の色や形に合わせて漬物の小皿もどれにしようかな?などと迷って楽しんでいます。
     和食器は手に持つ関係上小さなものが多いので、ランチョンマットや折敷(おしき)などで一人分をまとめるとスッキリします。ここでは松くり盆を使用していますが、おしょうゆをこぼしても慌てて洗濯することもなく、台ふきんでさっとふくだけです。30年ほど愛用しておりますが、食事が終わると家族が自然に自分の分をお盆ごとキッチンに運んでくれるので採用してよかったと思います。
     食卓にはいつも一輪の花を心がけています。お部屋の雰囲気が変わりますよ。これは江戸時代から明治の初めにお酒やおしょうゆを輸出する際に波佐見で作られた有名なコンプラ瓶を模した小さな花瓶です。さりげなく山ブドウの葉を入れてみました。
    みなさんはどんなお花を生けてみたいですか?

    メニュー新米ご飯・南瓜と青梗菜のお和え
    白山陶器の平茶碗AB10(波佐見焼)
    白山陶器のパーティートレイ小皿(波佐見焼)
    お盆松くり盆 30年ほど前に道具屋で購入したもの
    メニュー栗と三菜の炊き込みご飯・わかめとねぎの味噌汁・自家製糠漬け
    安楽窯 黒釉土鍋(有田焼)
    20年ほど前に旅先で求めた飯碗(「つみき」という名あり。美濃焼?)
    汁椀(波佐見町のセレクトショップ「はなわくすい」にて購入)
    梶謙製磁の染付丸紋小皿(有田焼)
    お盆松くり盆(1つめの写真と同じ)
    山ブドウ
    花器重山陶器のコンプラ瓶(波佐見焼)